11年ぶりに射撃場が再開 全弾回収型施設へ
弾丸に使われる鉛汚染の土壌調査と除去、施設の改修のため、2002年4月から休場となっていた神奈川県立伊勢原射撃場(上粕屋2380番地)が4月2日、環境対策工事を終え11年ぶりに営業を再開した。県内唯一の総合射撃場で年間1万5千人から2万人の利用者を見込む。
同射撃場は、1972年にクレー射撃場とライフル射撃場を持つ県内唯一の総合射撃場として開設。98年には「かながわ・ゆめ国体」会場にもなり、年間約3万人が利用していた。
2002年に全国的に射撃場で使用される鉛弾による鉛汚染が問題となり、土壌調査や処理を目的に休場。調査の結果、基準値を超える鉛が検出され、環境に配慮した全弾回収型施設として11年度中の再開をめざし工事が進められていた。
環境対策工事では、鉛の除去をはじめ、散弾の飛散防止柵や壁の設置、騒音防止のための防音壁、土壌への影響を防止するアスファルト舗装など。担当する県教育委員会教育局生涯学習部スポーツ課によると、鉛の回収、舗装などの環境対策工事に掛かった費用は総額で約33億円となる。
再開される射撃場は、ライフル射撃場計62射座とクレー射撃場5面を備え、小口径・大口径のライフル銃をはじめ、散弾銃、空気銃、ビーム・ライフル等にも対応する。射撃場の管理は、昨年6月に応募4団体から選定された一般社団法人神奈川県射撃協会が指定管理者として行う。
2日に営業再開となったのは施設内にあるライフル射撃場。午前9時のオープンに合わせて、再開を待ちわびた利用者が駆け付けた。小田原から来場した県ライフル射撃協会の理事長を務める小澤常雄さんは「10年以上、待ちに待った再開。使いの良い射撃場です。今までは千葉などの他県まで行かなければならず大変だった。これをきっかけに若い世代が競技に参加してくれれば」と話す。
管理する県射撃協会によると、射撃人口の60%以上が高齢者で、若者への競技の普及が課題となっているという。競技の普及をめざして地元も高校等にもビーム・ライフルを持って普及振興活動をしている。「県民の大切な税金でできている施設。『安全はすべてに優先する』を職員一同で徹底し、多くの人に広く利用してもらえるようにしたい。ビーム・ライフルは弾も無く、誰でも利用できます。ぜひお越しください」と葛谷寛一事務局長は話す。また地域振興のひとつとして、パート職員の地元雇用、大会等の景品に地元農産物の利用も検討している。
クレー射撃場は4月12日(金)からの再開を予定。14日(日)には、ライフル射撃の国体の予選に使用される。15日(月)は関係者による開所式も行われる。
施設に関する問い合わせは神奈川県射撃協会/【電話】0463・92・7882(クレー)【電話】0463・92・7880(ライフル)
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