小田原の「天下一忍者決定戦」で優勝、6代目風魔小太郎を襲名した 近藤房治(ふさはる)さん 板戸在住 30歳
標的めがけ一直線
○…任務を完遂した。緻密に、そして大胆に。装束は陸上の練習着、履物は短距離向き軽量シューズ。小田原城馬出門から学橋手前までの約150mを颯爽(さっそう)と駆け抜けた。
○…5月3日に小田原で開催された北條五代祭りの新企画「天下一忍者決定戦」。全国から108人の猛者が参加し、健脚を競った決定戦でぶっちぎりの優勝を飾った。「県外の人には絶対に負けたくなかった」とゴール直後には思わずガッツポーズ。勝者に与えられる伝説の忍者・風魔小太郎の6代目称号を手にした。
○…今回の忍者決定戦に向け、普段のトレーニングに加え、4月下旬には板戸の自宅から会場の下見に訪れた。「第1回だからどうしても勝ちたかった。1度決めたらとことんやらないと気が済まないんですよ」。小田原城まで同行してくれた妻をよそに、ひとり戦闘モードに。コースを入念にチェックし、持参した2足のシューズの中から地に適したものを見極めた。そして当日、スタートから一気に飛び出し、50m5秒台の俊足でライバルたちを一蹴。「妻も喜んでくれました」と胸を撫で下ろした。
○…職場でも、備えはぬかりない。綜合警備保障(株)(ALSOK)の相模支社に勤務。護身術や救命救急の講習を重ね、個人宅や公共施設などの警備にあたる。泥棒を捕まえたり、倒れていた高齢者の人命を素早い対応で救ったこともある。「人の役に立つのがやりがい」だという。
○…小田原で生まれ、兄の影響で始めた陸上。中学、高校では陸上部に所属し、卒業後もクラブチームで短距離走を続ける。就職を機に10年ほど前から暮らす伊勢原では、市陸上競技選手権で連覇の経験も。現在は厚木のチームに籍を置き、週2〜3回の練習に励む。今後の目標は、30歳以上が参加するマスターズ陸上の全国制覇。初出場した昨年は100mで4位。「今年こそは10秒台で優勝したい」。忍者に休む暇などない。