伊勢原版 掲載号:2016年5月20日号
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伊勢原市遺族会の会長に就任した 山田 惠巳さん 板戸在住 73歳

平和の尊さ 後世に

 ○…戦争犠牲者の家族ら487人が名を連ねる伊勢原市遺族会の会長に、4月15日付で就任した。同会は毎年春季平和慰霊祭を市民の森ふじやま公園で行うなど、戦争の記憶を未来に語り継ごうと活動している。「今の繁栄は、先人の一命の上に築かれたもの。平和の尊さを後世に伝えていく責任がある」と語る。

 ○…生まれは埼玉県。現在の熊谷市で終戦を迎えた。「家と蔵の間に防空壕があった。母親が焼夷弾から命からがら逃げたという話を聞いた」と振り返る。ホテルニュージャパンの従業員を経て、市光工業と縁あって伊勢原へ。市議会議員を5期、市商工会女性部の部長を20年以上務めるなど、地域のため汗を流してきた。遺族会には当初、叔父2人を戦争で亡くした夫の代理で出席していた。市と協力して平和のつどいを開くなど関わりが密になっていく中で、会長就任を依頼された。責任の重さからためらいもあったが、「伊勢原の人はみんな協力してくれる。和を大切にしたい」と引き受けた。

 ○…遺族会のほかにも、精神障害者の自立支援を行うNPO法人未来の立ち上げ、片町福祉館で高齢者の憩いの場「片町ミニサロン」の設立や運営に携わるなど、活動は多岐にわたる。「夜が来れば朝が来る。走り続けるしかない」。そんな姿を叱咤激励し支え続けてくれた夫とは、今年で結婚50年を迎えた。他愛のない冗談を言い合う関係に、「友人から『夫婦漫才に出なさいよ』と言われるの」と笑みをこぼす。

 ○…遺族会会員の年齢は60代から90代半ば。高齢化が進み、年々会員は減少している。先の大戦の語り部が減りゆく中、記憶を風化させないためにも「会員を掘り起こしていきたい」と前を向く。ふじやま公園の慰霊塔には、犠牲者874柱が眠っている。「当たり前に生きていられるのも、先人の苦労があったから。決して忘れてはならない」と気を引き締めた。

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