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掲載号:2019年2月8日号

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 後世、源平盛衰記、平家物語をはじめ数多の類する著書、歌舞伎、芝居、絵本等々で人々に栄枯盛衰を、諸行無常を説いてくれたが、当初から源平の旗幟(きし)を鮮明にしていたわけではなかった。積年の友誼(ゆうぎ)、交誼(こうぎ)、打算等複雑に絡み、一族一門の繁栄を願い、時の力のある側に附き、血族・血縁の濃淡も背景にあった事だろう。想えば保元の乱(保元元年・1156年)、平治の乱(平治元年・1159年)の頃、未だ豪族や武士達、朝廷の天皇、上皇、法皇、有力廷臣達の権力争いの走狗であった。犬馬の労と承知していても時の情勢は朝廷、廷臣達の豪族・武士達の駆使は流石であったが、多くの実力のある公家も命を落とす者が出た。結果として、平清盛の平治の乱に於ける朝廷工作は素早かった。源義朝、機微を逸し敗残の身となり、平清盛との立場の違いが鮮明となった。平治の乱の事だった。父・義朝危難の情報に長男・義平、急遽、父・義朝救援に馳せ向かえど敵わず、次男・朝長、父と共に落ち行く道すがら、追捕の矢を受け足手纏いとなるを恐れ死を懇願。悪源太と謳われた義平だったが、平清盛に依って六条河原の刑場の露と消えた。時に悪源太義平、20歳だった。戦に敗れ落ち延びて行く身とはいえ、長男・義平、次男・朝長を失い三男・頼朝行方知れず。傷心の義朝、一廉(ひとかど)の武将とはいえ不覚にも郎党・長田忠致(ただむね)の邸(やしき)で入浴中を襲われ、身辺警護の金王丸、迂闊にも帷子(かたびら)を取りに行っている隙の事だった。時に永暦元年(1160年)正月3日、尾張国野間(知多半島)での歴史的な事件だったが…!?時を同じくして平治の乱に敗れ奥羽目指して落ちて行く主従があった。宇多源氏を祖と仰ぐ近江源氏・佐々木秀義一行だった。奥羽の覇者、藤原秀衡を頼り相模国高座(たかくら)の辺りを通る情報を察知していた渋谷重国。偶然の出会いを装い重国、佐々木秀義を、一族を渋谷の荘に引き止めた。平氏の治世下20余年に渡り、佐々木一族を庇護した。大庭氏をはじめ平氏方の目が光っていたが…。光重、今、父・重国の歳に近づき、寡黙だった父、矜持を胸に剛直だった父。今、己は一族一党を率いて鎌倉幕府3代将軍・実朝に仕えて行けるのか。今、薄氷を踏む想いで御家人を務めながら、常住坐臥(じょうじゅうざが)、一族一党の安泰、幕府の将軍・実朝の安寧秩序を願いながら雌伏の日々だった。鎌倉に一時(ひととき)の平穏が流れていたのか…?密やかな謀り事が北条義時を源流として伏流していたのでは…!?ともあれ時は流れ承久元年(1219年)正月を迎えようとしていた鎌倉の府。この温暖の地に昨夜来より深々と音もなく二尺に迫る降雪。鶴岡八幡宮は一面の雪景色。様々な行事が山積する鎌倉の府、正月3日、実朝この朝、鎌倉の府の綺羅星の如き家臣達の見守る中、参列の中、右大臣拝賀の為、雪の中参詣。八幡宮の雪の階段が鮮血に染まった。

【文・前田幸生】

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