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小田原・箱根・湯河原・真鶴 文化

公開日:2016.01.16

名残伝える今年の主役
小田原城のサルたち

  • 今年の干支ということもあってか猿山には人だかりが

 今年の干支は『申』。小田原のサルといって思い出されるのが、小田原城本丸広場のサルたちだろう。彼らは、動物園を備えていた当時の小田原城を今に伝える最後の一員だ。

 現在、小田原城本丸広場には、直径約5mの円柱状の檻に、推定10歳から30歳とみられる10頭のニホンザルが飼育されている。

 小田原城にあった動物園は、今から60年以上前の1950(昭和25)年、市制10周年を記念して開催された「小田原子ども文化博覧会」の施設を利用し、整備された。「小田原子ども文化博覧会」では、県内の産業を紹介する産業館やこども世界探検場が設置されたほか、野外劇場では子どものど自慢大会や奇術大会などが催され、7年前の秋に死んだ象のウメ子もこの時期にやってきた。

 当時はまだ天守閣は復元されておらず、本丸広場には、「小田原動物園」として象のウメ子の他、ライオンやクマ、ウサギ、アシカなどが展示され、その中に現在の猿山を備えた檻にニホンザルの群れもいた。

「整備」確定で撤去の方向に

 動物園の撤去が取り沙汰され始めたのは82(昭和57)年、小田原市が『史跡小田原城跡整備の理念と方針』を策定したころから。ここで小田原城跡の保存や活用とともに、城跡整備に不適当な施設の撤去・移転の方針が決定した。

 さらに、2005(平成17)年の馬出門の復元工事に合わせ制定された「本丸広場環境整備事業」により、動物園の本格的な撤去に加え、遊園地も撤去を前提に、修繕しながら使用していくことになった。

 動物園にいたインドクジャクは東京都の羽村市動物公園に、フラミンゴとアライグマは栃木県の宇都宮動物園など、国内で信頼のおける動物園に引き取ってもらった。象のウメ子は高齢だったため、移動に耐えられないと判断、本丸広場で長寿をまっとうした。

 ニホンザルは県の特定動物に指定されており、登録・許可が必要なため個人での飼育は難しい。加えて習性上、群れごとの引き取りでないとケンカとなるため、別の群れと一緒に飼育できない、などの理由で貰い手は見つかっていない。

 サルたちは現在、3人の飼育員により飼育され、来場者の目を楽しませている。城址公園課の飼育担当者は「童謡の『お猿のかごや』にも登場する、小田原にゆかりある動物。子どもたちにも人気があるので、ここにいる間は有意義に過ごしてほしい。来園者に楽しんでもらえるよう、これからも愛情を持って育てていきたい」と話している。

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