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小田原・箱根・湯河原・真鶴 社会

公開日:2017.07.01

迫るジャンボタニシの脅威
対策は手作業のみ

  • 殻高は最大で8cmにもおよぶ

  • 遠くからでも目立つピンクの卵塊

 俗にジャンボタニシと呼ばれる巻貝「スクミリンゴガイ」の生息域が、市内の上曽我や上府中の水田で拡大している。田植えから約1カ月間ほどの若いイネを食害することから、JAかながわ西湘では農家に注意を呼び掛けている。

 スクリミンゴガイは、アルゼンチンやウルグアイに生息する南米原産の淡水巻貝。1979年頃に食用として台湾へ輸出され、その後アジア各国へと広がった。

 日本へわたったのは81年。83年には35都道府県に500もの養殖場ができたが、食用としての需要は伸びなかった。一方で野生化した個体がイネを食害し始めたことから、国は84年に有害動物に指定。以降の輸入は禁止されたものの、国内では天敵がほとんどいないことから温暖な九州を中心に増加してきた経緯がある。

求められるスピード感

 小田原市内では昨年、曽我の水田で初めて生息を確認。目立った被害はなかったが、今年も田に水を張り始めた5月に入り、土中で越冬したとみられる個体が現れるようになった。JA担当者は「まだ深刻な状況には至っていない」というが、用水路を伝って流された稚貝による生息域の拡大が懸念され、注意喚起のチラシを作成するなど対策に乗り出している。

 だが、一晩のうちに水田脇のコンクリート壁一面にピンク色の卵塊がびっしりと産み付けられているほど=写真下、繁殖力が強いことも特徴のひとつ。より迅速な対応が求められるが、JAでは田んぼの所有者を把握していないことから、発見してもすぐに農家へ知らせることができない。また、この時期は水田での作業も頻繁ではなく、知らぬ間に被害が進んでしまうことも危惧されるという。 

 県内では被害が深刻な地域もある。秦野市では2011年に初めて個体が発見されて以来、さまざまな対策を講じてはいるものの一向に収束の気配はない。昨年には鶴巻地区で、一反(約480kg)の食害を受けたという。

 JAはだのの担当者は、「法律上、薬剤散布できない水路を通じて拡がってしまう。見つけたらつぶすなど手作業での対策が必要」とし、地域ぐるみで行わなければ効果は薄いと話す。5月には兵庫県で猛毒のヒアリが確認されたが、「外来種は一度増えると対策が難しい。小田原は水田の面積も広いので、水際で食い止めないと」と注意を促す。

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