横浜高校の増田珠中堅手のグラブにボールが収まった瞬間―。出し惜しみなく、戦い続けた相洋高校の夏が終わりを告げた。
第99回全国高等学校野球選手権神奈川大会は7月25日、準々決勝を迎え、相洋は昨年の覇者・横浜に挑んだ。「この先、神奈川は横浜高校が引っ張るだろう」。相洋高校の高橋伸明監督がそう話した春一番の練習試合の対戦相手は横浜だった。昨秋の延長再試合、そして今夏。4度目の挑戦はまたも打ち砕かれた。
再び挑める幸せ
「リベンジ」と位置付けた夏。春季県大会で逆転負けした平塚学園を5回戦で(9―2)破り、臨んだ大一番。初回から4点を失う苦しい展開も「打たれて、最初から割り切れた」とエース伊藤寛祥投手。その後は5回まで0を並べたが、攻撃の手を緩めない横浜に「秋よりも、ずっと強かった」(伊藤投手)。1―9。7回コールド。完敗だった。「彼がエースでよかった。マウンドを降りない意地を感じた。選手には伝えることはすべて伝えた。できる準備はすべてした。強く行ける部分は強く行かせた。夏に向けた後悔はない。この3年生全員と戦えて、幸せでした」(高橋監督)。「結果ですが横浜が代表校だったので悔いはない」(二宮健太主将)。
神奈川188校の夏は終わった―。8月7日から戦いの舞台を阪神甲子園球場へと移し、選手権大会が開幕する。神奈川代表は横浜。
小田原球児が甲子園に向かう
17年ぶりに西東京代表を決めた東海大菅生高の鹿倉凜多朗捕手(鴨宮中出身・3年)と石田隆成内野手(城山中出身・1年)。鹿倉捕手は優勝候補とされた日大三(準々決勝/5―0)や早稲田実業(決勝/6―2)を破る立役者になった。
名前に込められた思いは「凛々しい朗らかさを多く併せ持った子に」。決勝戦の試合後、名付け親でもある父・好人さんの「よかったな」というメッセージに「うん」とだけ返答した「熱き想いを内に秘める」背番号2。豊川小に入学する前から卵のパックを面に、段ボールをプロテクター代わりにしていた少年が「捕手一本」で挑み、掴んだ夏の切符。凜と輝かせてみせる。