NPBへ…「0%でない限り」 繁田選手(西湘高出身)が琉球に入団

スポーツ

掲載号:2020年1月25日号

  • LINE
  • hatena

 高校・大学の野球人口から割り出した「プロ野球選手になれる確率」は約0・19%といわれ、社会人や独立にまで広げるとその数字は更に低くなる、まさに雲をつかむような世界。それでもNPBを志し、無名でありながら夢を追い続ける選手がいる。繁田隼内野手(26)。西湘高から波乱万丈の野球人生を今なお歩み、沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」に今春、入団する。

 ※   ※   ※

 キャンプインを控えた1月の平塚。倉本寿彦選手(DeNA)の自主トレに帯同する繁田さんの姿があった。体幹トレーニングや守備、バッティング…プロの技を一つも見逃すまいと夢中で白球を追う。「やっぱり野球がしたい」と紡ぐ言葉は、力強い。

 小田原市酒匂に生まれ、小学3年生から野球を始めた繁田さん。中学の軟式野球部から西湘高へ進むと3年時には県ベスト16も果たした。とはいえ、激戦区神奈川の中では所詮無名の一選手。「もっと上で野球を続けたい」と、推薦でなくとも入部ができる日体大へ進学した。300人を越える部員の中で3年秋にはベンチ入りし、公式戦でタイムリーも放った。

仏時代は月収3万円パン1本でしのぐ

 ドラフト指名が遠く、進路決定を迫られた大学4年次。それでもプロへの道を模索していた折、ヨーロッパという選択肢があることを知った。「好きにやればいい」。両親の声にも押され、PR動画を送り、単身海を渡った。1カ国目はフランス。お金もなく、言葉も通じない、ゼロからのスタートだった。

 所属したサヴィニーライオンズでは外国人枠で登録され、日曜日にダブルヘッダーで行われる試合をこなした。月収は日本円にして3万円ほど。時には1本60円のフランスパンを3分割し、朝昼晩かじるだけの日もあったという。身体が資本のアスリートとは思えぬ生活だが、異国で野球を続けるための逞しさを養ったのはこの頃だ。

 1年間のプレーを終え、短期バイトでお金を貯めてアメリカなど海外の独立リーグを渡り歩いた。「ここで芽が出ればスカウトされ、上へ行けるかもしれない」。わずかな望みに賭け、懸命にアピールを続けた。

 海外、特に本場・アメリカで揉まれたことで得た自信を日本に持ち帰ると、四国アイランドリーグplusの愛媛マンダリンパイレーツの入団テストの機会を得て、合格。小柄ながら広角に打ち分ける打撃で主軸を任され、前半戦は3割後半の打率を残した。「この1年でNPBに行けなかったら辞めよう」

 だが覚悟の1年も叶わず、24歳でユニフォームを脱いだ。

未練が突き動かす最後の挑戦へ

 その後バレーボール・Vリーグチームの職員としてグッズの企画販売、スポンサー営業といった裏方や社会人野球チームにも属した。「運営面で携われたら」と進路変更していたのだ。そこに届いた沖縄での新球団誕生のニュース。「やっぱり未練があったのかな」、気づいたらエントリーシートを送っていた。セレクションを経て内定の電話が鳴った時「またチャレンジできるんだ」と胸が高鳴った。

 ※   ※   ※

 数々の挑戦の裏で大切にしてきた言葉がある。西湘高時代、成功の秘訣について柴山寿治監督(当時)が語った「継続は力なり」の一言。「あの時はよく理解できていなかったけど、自主練習を毎日続けたことが基盤となって、今があると思う」。諦めず、日々を積むこと。一貫した姿にさまざまな縁が重なって、野球を今日まで続けて来られたという。

 琉球は独立リーグにも属さず、単独でNPB参入を目指す異色の球団で、ここからNPBに入るのは至難だろう。まして元プロ選手も多く在籍するチーム内で競争に勝たなければ何も始まらない。だが「年齢的にもこれが本当に最後の勝負」と語る目に迷いはない。いざ、球春待ちわびる沖縄へ。もうひとあがきしてみせる、可能性が0%でない限り――。

倉本選手(左)との自主トレを志願
倉本選手(左)との自主トレを志願
西湘高時代の繁田さん(下段中央)
西湘高時代の繁田さん(下段中央)

小田原・箱根・湯河原・真鶴版のローカルニュース最新6

「カホン」作って叩こう

大村楽器店

「カホン」作って叩こう 文化

小田原の間伐材利用

10月17日号

新生児に10万円

湯河原町

新生児に10万円 社会

コロナ対策で独自支援策

10月17日号

寄付

寄付 社会

10月17日号

箱根の魅力を全国に

箱根の魅力を全国に 経済

温泉総選挙にエントリー

10月17日号

密避け呼びかけ

密避け呼びかけ 社会

赤い羽根共同募金

10月17日号

規模縮小し継続開催へ

箱根大名行列

規模縮小し継続開催へ 文化

今年は疫病退散を祈願

10月17日号

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 9月19日0:00更新

  • 11月2日0:00更新

  • 11月17日0:00更新

小田原・箱根・湯河原・真鶴版のあっとほーむデスク一覧へ

最近よく読まれている記事

バックナンバー最新号:2020年10月17日号

お問い合わせ

外部リンク