埼玉スタジアム2002で行われた全国高校サッカー選手権大会の決勝を制し、通算2回目の優勝を果たした山梨学院高校。小田原市立酒匂中学校出身の広澤灯喜(とき)選手(3年)が同大会を通じて主力として活躍した。
サイドアタッカーとして相手陣内に切り込む瞬発力、当たり負けしない体幹とボールを収める足元の技術を持ち合わせる広澤選手。決勝の青森山田戦では前半、ゴール前のスペースへ出されたパスに走り込み、相手DFのタイミングをずらした技ありシュートで先制点を奪取した。
積み重なった「11」
強豪相手に「受け身にならず攻撃的な姿勢で行けた結果。早い時間に点が取れて高ぶった」と振り返る。今大会、全ての試合で先制点を決めて勝ち進んできた。日本一に向け必勝パターンを作り上げたこの1点は、別の驚きをチームにもたらしていた。
ゴールを決めた瞬間、両人差し指を上げて「11」のポーズを決め、仲間と喜びを表現した広澤選手。これは決勝当日が1月11日、背番号11の広澤選手による前半11分過ぎの得点を実現させたことによるものだ。
「決勝前日に気付いて『これができたら凄くない?』ってメンバーと話していました」。その後試合はもつれ、2対2のまま迎えたPK戦を制し、同高は「11大会ぶり」の優勝を果たし、最後を飾る「11」のピースも加わった。
「話していたことが全部実現して驚いた。持っているなと思いました」。自身のツイッターで呟いた「ぞろ目の奇跡」は、6千を超える「いいね」が付くなど大きな注目を集めている。
とにかく楽しめ
広澤選手がサッカーを本格的に始めたのは小学2年生の時。酒匂サッカー少年団から湘南ベルマーレU─15小田原、レアルマドリードが運営する横浜のサッカースクールへとステップアップしながら技術を磨いた。加えて中学サッカー部や公園での自主練もこなした日々を「とにかくサッカーが好きだった。普段はお調子者ですが、好きなことを楽しむための姿勢だけは真面目かも」。
選手権閉幕後、束の間のオフに地元へ戻り中学への優勝報告やかつてのチームメイトらとフットサルで汗を流した。「ひたすら楽しい時間でした。お祝いの言葉をもらってようやく日本一になった実感が湧いてきた」と笑顔を見せる。
将来の目標は世界の年間最優秀選手に贈られる「バロンドール」の獲得。「目指すところはどれだけ高くても良いと思っています。サッカーが好きならそのための努力も苦しくはないはず。サッカー選手を目指すなら『とにかく楽しめ!』と伝えたい」。サッカー少年たちへのメッセージも爽快だ。
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