小田原・箱根・湯河原・真鶴 社会
公開日:2025.08.16
箱根DMO
観光庁モデル事業に採択
食品廃棄物を飼料に活用
観光庁がこのほど、「持続可能な観光推進モデル事業」の結果を発表し、(一財)箱根町観光協会(箱根DMO)が2年連続で採択された。地域の持続可能性の向上に資するモデル実証を支援をするもので、箱根DMOは「環境先進観光地・箱根 食品リサイクル循環プロジェクト」に取り組む。
これは、2020年に策定された「日本版持続可能な観光ガイドライン」に基づく実践を推進し、国際認証の取得等を通じたモデルケースを創出するための取り組み。今年度は箱根DMOと福井県鯖江市の観光推進団体が選ばれた。
箱根DMOは箱根町と21年度から観光地としての持続可能なあり方を模索する中で、町内の可燃ごみの8割が事業系で、そのうち半数近くが食品廃棄物という課題に着目。食品リサイクル業者の日本フードエコロジーセンター(相模原市)の協力を得て、食品廃棄物を豚の飼料として再利用するリサイクルの実証に取り組む中で、昨年度の同事業に応募し、活動を進めてきた。
昨年度は町内の宿泊業者6施設を対象に、食品廃棄物の組成調査やリサイクル実証を実施。分別や品質に問題はなく、排出量の7〜8割がリサイクル可能との結果が得られた。一方で、食品廃棄物を同センターに運ぶ際の運搬費や処分費の増加、狭い道路事情による非効率な輸送体制などの課題も見つかった。
回収体制を再構築
今年度は、昨年度の課題に基づく解決策の実証実験として、対象施設を湯本エリアの12施設に拡大。小型車で回収後、大型保冷車に積み替えて2日に1回の頻度で同センターに輸送する体制を整える。また、将来的な規模拡大を見据え、広域一般廃棄物事業協同組合に依頼し、複数業者による混載便体制の構築も進めていく。
事業の社会的受容性を確認するため、観光客の声を活用した意識調査も展開。リサイクルへの理解や共感の有無を把握し、その結果を地域事業者と共有することで、協力体制の早期構築を目指す。箱根DMOの真野剛さんは「食品廃棄物のリサイクルは個別事業者では見られるが、地域全体での取り組みは珍しい。箱根ならではの挑戦として新たなモデルとなるよう、関係者とともに進めていきたい」と話した。
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