ABCジャパンの教室スペース
鶴見区は、全国的に見ても多文化共生の進んでいる街だといわれています。
少子高齢化により働き手が減り、外国人労働者の手を借りる必要があるのではと囁かれている今日。鶴見は多文化共生の街のモデルにもなり得るのではないでしょうか。
多様な文化の息づく街
鶴見は、京浜工業地帯の発展に伴い、国内外から働きに来た人々が多くいた街だといわれています。現在、中区に次いで2番目に多い、約1万1900人の外国の方が住んでいます。特に横浜市に住む南米の方の約3分の1が鶴見区に住んでおり、その中には、沖縄にルーツを持つ日系の方も多くいるそうです。
90年代頃より、戦前沖縄から出稼ぎのために南米に渡った方々の子孫が、鶴見に多く住んでいた親族を頼って来たことにより、南米の方が定住するようになったといわれています。
そのため、日本語はわからなくても、沖縄文化に愛着を持っている人や、沖縄方言が分かる方もいるのだとか。
誰もが住みやすい街へ
区は2008年、「鶴見区多文化共生のまちづくり宣言」を掲げ、誰もが居心地よく暮らしていける街を目指し、地域全体で様々な取り組みを継続しています。
「宣言」に基づき2010年にシークレイン2階に設置されたのが、鶴見国際交流ラウンジ。多言語での情報提供や交流イベントの開催など活動は多岐にわたります。また、ボランティアの方々の活動の拠点ともなっています。
代表的な団体の一つであるNPO法人ABCジャパンは、鶴見在住のブラジルの方が、外国人の方の生活のサポートをできる場を、という思いから活動を始めたのだそうです。現在特に力を入れているのが、外国につながる子供の学習支援と、大人の方向けのキャリアアップ支援。活動には、ボランティアの方々の力が欠かせないといいます。
私たちにできること
何よりも、話す機会を持つことが大切です。
ABCジャパン代表の安富祖美智江さんは、「知らないから壁を作ってしまう。ほんの少しでも知れば壁は低くなる。異なる文化を知ることは楽しいこと」と話します。
また、国際交流ラウンジ館長の松井孝浩さんは、「日本人と外国人」としてではなく、「同じ地域に住む人同士」として一緒に暮らしていけることが理想だといいます。
まだまだ課題は多いです。ほんの少し意識を変えるだけで、お互いにもっと楽しく、居心地のいい街になるのではないでしょうか。