富士山マラソンで優勝した 府川 健一さん 延清在住 48歳
渇望するワクワク感
○…月間400Kmを走破する市民ランナーを、アクシデントが襲ったのは大会3週間前のことだった。練習による疲労が蓄積して、左ふくらはぎを故障。年代別で4連覇がかかる「第6回富士山マラソン」を間近に控え、出した答えは「完全休養」。走りたい欲望を抑えて2週間休み、直前の1週間で体を仕上げた。
〇…当日の11月26日、山梨県河口湖のスタート地点に立つと、「いつもはワクワク感だけなのに、今回は不安もあった」。それでも、「淡々と刻む走り」で富士山麓を2時間56分1秒で駆け抜けた。45〜49歳部門優勝。「妻が掲示板を見て教えてくれた。よかったぁ」と胸をなでおろした。
〇…生まれも育ちも小田原。「親に自転車を買ってもらいたかった」と足柄小学校では学級委員に。白山中でサッカー、西湘高ではラグビー部に入り、いずれも足の速さが求められるウイングを任された。高校2年のときにエレキギターに目覚め、専門学校を経て大手楽器店へ就職。東京で過ごしたサラリーマン時代は、販売成績優秀で新人賞獲得。しかし3年が経ったある日、「急に営業の熱が冷めちゃった。長男なので戻って来いとも言われていて」。楽器販売員から、母親に薦められた消防士に転身したのは、24歳のときだった。
〇…現在は足柄消防署ではしご車を担当し、公私とも忙しい日々を送る。5人の子宝に恵まれ、PTAにサッカーの審判、空いた時間に酒匂川沿いをランニング。さらに高校OB会、市役所陸上チームの班長…。「弱音を吐かず、慣れない環境にも前向き」の職場評に、「いろいろあるけど、走ればスカッとするんです」と顔を綻ばせる。
〇…30歳で始めたマラソン。自己ベストは2時間43分、目標は30分切り。走りのイメージを愛車の電気自動車に重ね、「スーッと軽く進む感じ。スピードが付けば記録は伸びる」。スタート地点でも感じる”ワクワク”が、まだまだ止まない。
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