2017年夏の阪神甲子園球場。4万7千人の大観衆が見つめるグラウンドで東日本一小さな町、開成町で生まれ育った高校球児が躍動した―。
文命中出身の小玉佳吾選手は、西東京の名門、東海大菅生の主将として130人の部員をまとめた。「高校野球の聖地」と呼ばれる夢の舞台、甲子園では3番セカンドでフル出場し、2本のホームランを含む17打数9安打8打点でチームを初のベスト4へ導いた。
小玉選手は開成町吉田島で生まれ育ち、幼稚園までサッカー、小学1年生までは水泳で体力をつけた。野球経験がある父・直樹さん(49)はあらゆるスポーツの機会を与えた。
小学2年の4月に少年野球の開成イーグルス(山口雄司監督)に入ると、4年生でトップチームのレギュラーに定着。中学時代は硬式クラブの秦野シニア(牧嶋和昭監督)に所属し、週3回、秦野市内のグラウンドへ通い練習に励んだ。
「夢の2時間」
小学4年で東海大相模の「縦縞ユニフォーム」に憧れ父との練習が本格化した。イーグルスの山口監督は「仕事を終えたお父さんと毎日練習をしていた」と、その姿を目にしていた。
甲子園で初戦突破した8月14日、アルプス席で校歌を聞いた直樹さんは大きく息を吸い「夢のような2時間でした」と目を潤ませた。
絶妙の間合い
予選でも甲子園でも、試合中の小玉選手はここぞという場面でマウンドに足を運び、投手に声をかけた。
マウンドは今春までエースだった自らの主戦場でもあったが、大会が迫った7月初旬の試合で打球処理を誤り、右手親指を骨折。西東京大会4回戦までは登板はおろか、試合出場すらかなわない状態だった。
試合中の投手への気配りは投手の経験と幼いころの「いたずら」で養った。「見つかる寸前で逃げるのが得意だった。なにか勘がはたらくところがあった」と、こっそり教えてくれた。
次なる目標は「大学日本一」。さらに大きな夢は、そのまた先にある。
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