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箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2016.07.22

今月28日にポンプ車操法県大会に出場・湯河原第二分団の分団長を務める
杉山 裕治さん
湯河原町宮上在住 48歳

生粋の「つなぎ役」

 ○…「メンバー全員が体内時計の秒針を合わせているんですよ」。町大会での後輩5人の動きを振り返り、しみじみとつぶやいた。ドアの開閉スピードから手足の指まで呼吸を合わせ、弾かれたように動いて放水で炎の看板を打ち倒す。今はすっかり教える側だが、かれこれ20年以上「静と動」の極限を追い求めてきた。

 〇…20年前、小田原から湯河原に引っ越してきた頃は友人が少なく、職場で危険物を扱っていたこともあり、消防団入りはもう自然な流れだった。雑用からスタートし、やがてポンプ車の操作などを教えられ、2年後には大会出場。200m以上の全力疾走を繰り返し、げっそり痩せたことも。

 〇…訓練は旅館の駐車場を借り、夕暮れ時から夜10時頃まで。実際の消火活動では知識と判断力、何より団結力が問われる。過去にも真冬の遭難者捜索でオニギリも凍る寒さを味わったり大雨の時には、木の根がブチブチとちぎれる土砂崩れを目の当たりにした。現場の過酷さと経験も味わい、それが原動力につながっている。

 〇…美容師の母譲りなのか、太い指なのに手先が器用。小学校の時に版画のコンクールに入賞し、中学高校時代の趣味は年賀状づくり。単なる版画だけなく、専門的なスクリーン印刷などにも手を出した。その後、道具をレンチに持ち変え自動車整備の学校へ。神奈川日産(株)で整備や販売を経験し妻の実家のガソリンスタンドを継いだ。

 〇…モノ作りが日々の疲れを癒してくれるのか、最近の趣味は陶芸。自慢の作品は「麦」と書かれた大型タンブラーで、ジョッキサイズはありそうだ。おやじバンドにも所属し、納涼祭ではボーカルとしてマイクを握る。オリジナル曲は「伝統」と書いて思いと読む。歌詞の内容は子供たちに託す伝統がテーマという。仕事が終わってもつなぎたいものがあるから、声を枯らして駆け回る。白いホースの先は終わらない。

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