１８７３（明治６）年に誕生した市立大綱小学校（高橋亨校長）が今年、創立１５０周年を迎えた。12月９日には、記念集会と記念式典が行われ、児童や保護者、教員や学校関係者、地域の人たちが集まり、同校の１５０周年を祝った。創立と開校の２つの記念日が存在する同校。２０２１年には開校１２０周年を記念する式典が行われている。

　同校は１８７３年に大乗寺の大曽根学舎、東照寺の綱島学舎、観音寺の篠原学舎として創立され、校名や校地の変更を経て１９００年４月に「村立高等大綱小学校」として、旧太尾町５番地に開校した。同校ではこの年を「開校」の記念日としている。その後も移転と改名が行われ、23年の関東大震災の際には大部分の教室・建物が倒壊。また、45年には太平洋戦争での空襲により、２教室のみを残して大部分が焼失した。児童たちはバラック造りの仮校舎で勉強に励んだという。47年に今の「横浜市立大綱小学校」に改名。その後、67年に現在地に新築移転。児童や教職員が机や椅子などを手持ちして新校舎まで行進したことが話題となった。

　人口増加に伴う小学校増設による児童の推移も激しい。49年に港北小、51年に菊名小と綱島小、65年に大曽根小、76年に太尾小、80年に大豆戸小と各学校が創立する度に児童の一部が転校していった。現在も児童数は増加傾向にあり、２０１８年には第３校舎を新設し、８教室を増築。23年度は30クラス・８５０人にまで上り、５クラスの学年も。「大綱っ子」たちは新たな学び舎で、日々勉学に励んでいる。

華麗な演舞を披露

　12月９日の記念集会では、バルーンリリースを実施。全校児童に風船が配られ、カウントダウンで一斉に解き放たれると、児童らの思いを載せた色とりどりのバルーンは雲一つない青空に吸い込まれていった。また、まちの学習に協力した地域に住む「まちの先生」たちが招待され、児童らから感謝が述べられた。

　体育館で行われた式典には、歴代の校長やＰＴＡ会長ら関係者が来賓として呼ばれ、教職員が制作したスライドショーを見ながら同校の１５０年の歩みを振り返った。ステージではパーランクー（太鼓）を持った３年生がエイサーを、長半纏を纏った６年生がソーラン節を披露。また、ＰＴＡコーラスが童謡や校歌を熱唱し、会場を盛り上げた。来賓代表の一人として登壇した漆原順一港北区長は、大綱小の卒業生である自身の思い出を振り返りながら、同校の変遷を紹介した。高橋校長は参加者らに感謝をのべ、「コロナ禍で色々な変化があったが、大綱小では、自然と文化に恵まれた温かい地域、理解ある協力的な保護者、素直で力のある児童たちなど、全く変わらない。今後も地域の皆様と一緒に子どもたちを育んでいく」とあいさつした。

１５０周年記念グッズ大綱かるた誕生

　記念式典当日は、会場に「大綱かるた」が飾られた＝写真。文字札は46文字のうち、１年生が各クラス１文字ずつ、２年生以上が各クラス２文字ずつを担当。「つみ重ね　れきしがいっぱい　大綱小」や「ろく学年　代々築く　大綱魂」「にこにこで　笑顔あふれる　大綱小」など学校のことを読んだものや、「のんびりと　レモンロードを　見てまわる」「やまの中　そびえ立つ塔　記念館」「めんがうまい　しげとみラーメン　最強だ」など、児童らが「まちの学習」で調べたまちの様子などが表現された文が書かれ、それに合わせた絵札が作られた。

　文字札の裏面には「大マグロ」のマスコットが載り、絵札の裏面は個別支援級の児童らが作成した１５０周年お祝いケーキ（オブジェ）の写真が掲載された。かるたは全学年各クラスに１セット刷られ、授業や遊びの時間に使われる。

サステナブルに

　個別支援級が制作したケーキのオブジェ＝左写真＝には、児童らが種から育て、収穫した綿花がホイップクリームとして飾られた。また、土台としたのは、全校児童から集めた１０００個の牛乳パックで作ったイス。周年行事のお披露目後はイスとして活用される。

いたるところに大きなマグロ(ツナ)記念マスコット　現４年生がデザイン

　同校では、150周年のマスコットを昨年度募集し、現4年生の山元颯さん＝写真＝のデザインが採用された。

　大綱(ツナ)をもじり、大きなマグロをデザイン。マグロの周りには｢綱｣や｢桜｣、｢海｣のイラストをあしらった。デザインは地元のデザイナーの手によってマークになり、マークが入ったバンダナが秋の運動会で児童らに配られた。山元さんは「ツナ＝マグロがピンときた。自分が描いた絵が選ばれて嬉しい。それを地域の人がキレイにマークにしてくれて、それも嬉しかった」と喜びを語った。マスコットは記念誌や横断幕など、色々なものに活用され、校内のいたるところに掲出される。