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戸塚区・泉区

公開日:2023.08.24

第92話 戸塚十勝(じゅっしょう)その2
とつか歴史探訪

  • 内田永保の墓(高松寺)

 前回で紹介した海蔵院に限らず、宿場周辺を題材にした歌も多く登場します。

 「南向山賞月」"秋の夜の 月にのほれは 五百しろの 田つらをてらす かけのさやけさ" 清源院を背に月がのぼり、振り返ると月明かりが周囲の広い田んぼを鮮やかに照らす様子が伝わります。田んぼなど、今では想像が付きません。

 「新澤の流蛍」"つきかけの いたらぬ澤の 木かけをも てらすは夜半の 蛍なりけり" 新沢の森は月の光をも遮るが、蛍が夜の沢を照らしている、どんなに綺麗だったのでしょうか。

 「大日向暁鳥」"明けからす なけともいまた 山の端の 梢に月の かけのゝこれる" 明けを知らすからすが鳴くが、まだ大日向の山には月が見え隠れする豊かな自然があったのでしょう。

 戸塚を讃えるかの歌も

 「戸塚積雪」"降りつもる 雪にうつる 朝日かけ きよきや神の 心なるらし"

どこに降った雪でしょうか、朝日に輝き神々しさも感じられます。

 「富士の晴嵐」"たちおほふ 霞のころも かくしても 嵐に晴るゝ ふしのしはやま" 姿を霞に隠れていた富士も、晴れて雄大な姿見せたのか、身近に富士が感じられます。

 「鶴岡遠望」"おのか名の つるか岡邊に おりたちて 千とせをよはふ 聲きこゆなり" 遠く鶴岡八幡を望み見ると、千年の歳(よわい)を祝う声が聞こえてくるようだ、何か良いことが起こりそうな気がします。

 今ではどの歌も戸塚のどこを詠んだのかと思うほど、世の中はスッカリと変わってしまいました。知ってか知らずか、"永保"は、戸塚町の高松寺に静かに眠っています。

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