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公開日:2014.05.01

関東学院大卒業生
「溶けないアイス」商品に
介護食として普及に期待

  • (右から)材料を手にする玉置さん、相川さん、松崎教授=写真上=商品化された溶けないアイス=同下

 昨年春に関東学院大学を卒業した女子学生3人が開発し、卒業論文にまとめた「溶けないアイスクリーム」が商品化された。20度から25度の常温で1時間放置しても溶けないアイスは、特に集団で食事をとる施設や「介護食」に最適。昨年8月の発売以来、学校や病院、高齢者施設などで約40万食が提供されている。

 昨春まで同大健康栄養学科で臨床栄養を学んでいた玉置(たまおき)明日美さん(23)、相川翔子さん(23)、杉本海夢(みむ)さん(23)は実践的な卒論に仕上げようと介護食の案を探していた。所属するゼミの松崎政三教授(人間環境学部)の「アイスは栄養価が高く、皆が好きなデザート」という言葉に着想を得、研究がスタートした。

 アイスは舌にからんで飲みこめ「誤嚥(ごえん)」しにくく、高エネルギーのため介護食に適する。一方で、溶けて液状化すると誤嚥しやすくなるため、一斉に配膳される病院や施設では採用されにくかった。「溶けないアイスはあったが固く、噛まなければいけないものばかりだった」と松崎教授は話す。

 3人のアイスの最大の特徴は「口どけ」。常温で1時間放置しても形が残り、なめらかさや冷たさは保たれる。一昨年5月頃から「豆腐や麩、片栗粉など試した」と玉置さん。牛乳や卵などのアイスに必要な材料の他に、様々な組み合わせや配合で試作すること250回以上。夏休みを過ぎる頃、ゼラチンと寒天の分量や混ぜるタイミングで再現できることを発見した。実際に病院患者に試食してもらえたのは11月のことだった。

「笑顔のために」が原動力

 「食べてもらう人の笑顔を思えば、何度失敗しても頑張ろうと思えた」と相川さん。3人を支えたのは開発したいという強い意思だ。

 「お盆以外は夏休みも研究室にいた」と話す玉置さんは研究中の6月に祖母を亡くした。「亡くなるまでアイスを食べたがっていたので間に合わせたかった」。介助つきでないと食べられなかった祖母の姿に、日常的に食べられるようにと思いを強くしたという。「おいしいという声や、介護側からも食べさせやすいという声を聞く。簡単に手に届くよう普及していけば」と願いを込める。病院で管理栄養士として働く相川さんは「一人でも多くの人が笑顔になれば」と話していた。

 アイスは卒論に目をつけた「ヤヨイサンフーズ」(川島義則代表)が「とけないアイス風デザート」として商品化。5種の味で病院などの施設で使われている。

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