創立50周年を迎えた芹が谷小学校の卒業生で作編曲家として活動を続ける 小堀 ひとみさん (旧姓・柵木)東京都板橋区在住
喜ばれる音を五線譜に
○…今年50周年を迎えた芹が谷小学校が誕生する1年前、永野小学校芹が谷分校に1年生として入学した。「周りは田んぼだらけで、校庭も未整備でいつも泥だらけ。晴れの日も長靴で通ってた」。田んぼのあぜには、地名の由来となった「芹」が生い茂り、「よく母が摘んで食べさせてくれてた。自然豊かでキジがその辺を歩いていたし、電話線もきてなくて、もうなんというか『芹が谷村』だった」。
○…幼少期からオルガン、エレクトーンを習い、耳に入るメロディを再現して遊んでいた。大人から演奏を求められれば、「ジャズやクラシックは最後まで聴いてもらえないから、民謡や歌謡曲を弾いてた」と、当時から聴き手を意識していた。フェリス女子短大(当時)で作曲を学んだ後、音楽教室のエレクトーン講師やバンドでのデビューを経験。その後もスタジオミュージシャンや作編曲家として、アイドルのステージから演歌歌手の舞台音楽まで幅広い活動を続けてきた。「口ずさめるようなポピュラーな音楽が作れるわけじゃない。そんな私にも、音楽の仕事があってよかった」
○…多忙を極めたのは息子が小学生のころ。父母会の会長を務めながら1週間で30曲の作曲依頼があったこともある。「気づいたら朝なんてことも多かった」。当時は満身創痍だったが、その一方で「忙しくてどうしようもない日常の方が、なぜか音楽が生まれてくる。さぁ作るぞと机に向き合う時はなかなか出てこない」。
○…相棒は手書きの五線譜。譜面上の音符だけで、頭の中にはさまざまな楽器の音が鳴る。「こんなやり方、もう化石かもしれない」と恥ずかしそうに笑うが、実際にデジタル機器の進歩は音楽の制作現場も大きく変えた。「コンピューターを使えば思う通りにはできる。だけど、思った以上の『想像を超える化学反応』は、やっぱり人が演奏する生の楽器からしか生まれない。それを若い子たちにも知ってもらいたいんだけどな」
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