港南区・栄区 人物風土記
公開日:2023.04.06
紙芝居『ちいちゃんのかげおくり』の公演が500回を迎えた
大泉 ひろ子さん
栄区桂台在住
「命の一部」読み続け
○…「目標にしてきた。無事達成できほっとしている」。戦争の悲惨さを伝える作品『ちいちゃんのかげおくり』を自作紙芝居に編集し、公演を続けて500回の節目を迎えた。30年にわたる活動の中では海外公演も。「高望みせず、できる限り続けたい。あと20年くらいかな」。柔和な笑顔に強い思いが宿る。
○…鎌倉市出身。父の転勤で全国を転々とする中、絵や紙芝居が好きだった両親の影響で小4の夏休みに紙芝居を作ったことが創作活動のはじまり。以降、紙芝居などを作り続けたが、出産を機に創作を中断した。再開の契機は図書館で借りた紙芝居を「返したくない」と子どもが嫌がったことだ。既に絶版になっていたため自作しようと、10年ぶりに制作。「息子へのプレゼントのつもりだったけど、自分へのプレゼントにもなった」と目を細める。
○…これまで作った紙芝居は38作品。布を貼ったボードを使う人形劇「パネルシアター」なども合わせると、手作り作品は100を超える。『ちいちゃんのかげおくり』を制作したのは93年。姪が涙しながら作品を音読する様子を見た姉の「これを紙芝居にしてみたら?」という言葉を受け作成。完成後、息子が通う桂台小で披露すると児童からは感動の声が。自身も「自然と力が湧いてきた。読み続けていこうと強く思った」。
○…紙芝居は「命の一部」。作中の登場人物に何度も励まされ、観客からもたくさんのエネルギーを受け取ってきた。「紙芝居をやっていなかったら出会えなかった人もいる。出会いは全て宝物」。長い歩みの中で多くのつながりが生まれた。「子どもの頃に好きではじめたものがどんどん静かに、波紋のように広がっていった感じ。幸せな紙芝居人生です」
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