中区・西区・南区 社会
公開日:2025.09.18
「スリバチ」の空き家を再生
建築学科出身の4人、住みながら改修
京急弘明寺駅から歩いて5分ほど。自然豊かな弘明寺公園に隣接する、「谷戸」と呼ばれる地形の谷部分(スリバチ)に佇む一軒家-。南区中里エリアの一角で課題となっている空き家問題を解消しようと、横浜国立大学建築学科出身の4人が空き家をリノベーションしながらシェアハウスとして利用している。
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「スリバチハウス」と名付けたシェアハウスに住むのは、同期生で今は大学院や社会人などそれぞれの道に進んでいる木許順賀さん(25)、尾崎龍樹さん(同)、山田伸希さん(24)、菅野壮汰さん(23)。きっかけは昨年、引っ越し先を探していた木許さんの一言。「建築を学んできた自分たちで住みながら改修して、空き家の可能性を探れないだろうか」。尾崎さんに声をかけ、地元の建築事務所の協力を得て出会ったのは、斜面に建つ築60年の2階建て住宅。現在の建築法では建て替えができず、周辺では同じような住宅が数軒空き家になったままだった。しかし「駅から近いし、公園と一体化した開放感も魅力。何よりこのスリバチ地形に惹かれた」。賃貸契約を結び、所有者の了解を得て昨秋から入居し、改修工事を開始。いざ壁を壊してみると断熱材や筋交いがなかったり、車が入れず資材を自力で運んだり―。日々困難の連続だが、キッチンカウンターや端材を再利用して家具や小物を作るなど「自分たちの家なので思ったことを実験的に試せる」と満足気な表情をみせる。
目下の課題は改修費。「大学から一部ベンチャー支援を受けている以外は、ほぼ自腹。資金が足りず、家の完成度はまだ20%にも満たない」。スリバチハウスは交流拠点などの公共性の高い施設ではなくあくまで「住居」の位置づけのため「補助金なども使えない」と頭を悩ませる。
地域に開いた「縁側」に
自治会に加入し、商店街のマルシェや地元の祭りなど地域活動にも積極的に参加。8月に敷地内で流しそうめんを企画して自治会に参加を呼びかけたところ、親子連れなど約40人が集まったという。見晴らしが良い自慢のウッドデッキ調の縁側は、来訪者の憩いの場にもなっている。「できるだけ地域に開いた場所にしたい」と、縁側のさらなる活用を模索中だ。
「このスリバチの取り組みが、周辺の空き家のモデルケースになれたら。中里エリアの空き家で困っていたら声をかけてほしい」と木許さん。(問)【携帯電話】080・3795・5258
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