保土ケ谷区内にある16カ所の医療機関が、それぞれの専門性を活かした「緩やかな連携」を続けている。地元の主治医がグループを形成し、総合病院のようなイメージで1人の患者を包括的に見守ろうというこの試みも今年で15年目。地域医療の拡充を図る取り組みとして、全国的にも注目を集めている。
地元の開業医が、それぞれの専門科の枠を超え形成している「アライアンス保土ケ谷」。「アライアンス」とは異種の立場の人が集まり、グループを組み、その中で協力しあうといった意味合いが含まれており、その名の通り、それぞれの開業医が互いに連携。患者に最も相応しい医療を提供すべく無料で紹介状をやりとりできる関係性を構築するなど、いわば「総合病院」的な役割を果たしている。
大半の開業医は研修医として総合病院で勤務した経験を持っており、その際に自分達がメリットを感じてきた病院内における「医局」の構造を医療機関同士が地域で実践している格好。多くの専門医の知識や技術が総合的に必要とされる認知症患者の増加などを背景に2001年の発足以来、少しずつ有志によるメンバーが増加。現在は内科、外科、小児科、眼科、眼科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻科、精神科の開業医が名を連ねる。内科医は高血圧や糖尿病など専門分野ごとに分かれており、代表の宮川政昭氏(宮川内科 小児科医院院長)は「専門科をもつ開業医が『専門医らしく』患者に接する機会拡充の一翼を担う事ができているのでは」と、存在意義を説明する。
一極集中のメリットも
各医療機関はJR保土ヶ谷駅と相鉄線・天王町駅を結ぶ旧東海道沿いに集中した形で点在。高齢者でも徒歩で往来しやすいというメリットを活かし、それぞれの専門科を効率良く受診できるような体制作りにも尽力するなど、包括的な見守りによる患者の安心感醸成にも一役買っているという。
また開業医同士も「患者の利便性向上」という共通理念のみで連携しているため、損得や利害に関係なく医療技術や最新の情報などを隠し隔てなく提供し合うのも特徴の一つ。業界の権威を招いての勉強会を通じて、医療レベルの底上げなども図っているという。
さらに、それぞれの診療所の開業医が「地域の主治医集団」を形成する事で、保土ケ谷区内にある3つの中核病院(横浜市民病院、船員保険病院、聖隷横浜病院)との意思の疎通も良化。「結果的に診療所と病院との間での紹介状のやりとりが一層スムーズになるなどといったメリットが生まれつつある」と宮川氏は話す。
蓄積データ、活用を
今年で15年目という歳月を経た最近では「この症状は○○先生に任せれば大丈夫」や「○○先生は何曜日の何時までに患者の紹介を依頼すれば良いか?」といったデータやパターンも数多く蓄積。全国的にも例が少ないこうした「顔の見える関係づくり」については、保土ケ谷医師会の山口哲顕会長も提唱しており、今後はグループそのものの”見える化”を含め、PR等にも力を入れていく方針も打ち出している。
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