狩場町の丘の上にある英連邦戦死者墓地で8月1日、第二次世界大戦中に日本軍の捕虜となり亡くなった英連邦兵士を追悼する礼拝が行われ、各国の大使館関係者や市民ら170人ほどが参列し、戦没者への祈りを捧げた。
「決してあなたのことを忘れません」「平和の休息」「最愛の息子よ」「安らかに」「あなたはいつも私たちの心の中にいます」――。そこに眠る人の名と没年月日、年齢が刻まれた墓石の銅版には家族からの思いを記したメッセージが刻まれている。
静寂に包まれ、木々に囲まれ、手入れの行き届いた青々とした芝生が広がる英連邦戦死者墓地には第二次世界大戦時に日本軍の捕虜となり、収容所で命を落とした英連邦諸国(イギリス・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア・インド・パキスタン)の兵士ら1873人が静かに眠っている。
英連邦は1917年に戦死者の遺体は本国に送還せず、階級差になく現地で埋葬するということを決定。狩場町の丘の上にあるこの墓地は46年に保土ケ谷鍛錬場を進駐軍が接収し、英連邦の戦没者の墓を集め造成された。かつてはエリザベス女王や故ダイアナ妃ら要人も訪問している。
戦後75年
追悼礼拝は日本軍が進めたタイとビルマ(現ミャンマー)をつなぐ「泰緬鉄道」の建設現場で旧日本陸軍通訳を務めた故永瀬隆氏、国際基督教大学名誉教授の故斎藤和明氏、青山学院大学名誉教授の雨宮剛氏の3氏が呼びかけ、終戦から50
年の節目となった95年に始まった。
以来、毎年8月の第1土曜日に行われており、26年目となったこの日の礼拝では170人近い人が参列。梅雨明けが発表され強い日差しの中、讃美歌を斉唱し、平和の祈りを捧げた。礼拝に参列した50代の女性は「20代から30代の若者が異国の地で捕虜となり、命を落とし、異国の地で眠っていることに強い悲しみを感じる。今年は終戦から75年。戦争はあってはならないという思いを毎年、強くする」と話していた。
「これ位の困難でへこたれるな」
追悼礼拝を主催した実行委員会の奥津隆雄代表は「ここに眠る兵士たちは今とは比べものにならないほどの困難を経験した。捕虜となり死の恐怖が支配する暗闇を体験し、薬もなく、十分な栄養も取れず、過酷な労働に耐えなけらばならなかった。いまコロナウイルスの感染拡大による困難は確かにあるが、ここに眠る兵士の方々の『これぐらいの困難でへこたれるな』という声が聞こえてきそうだ」などと話した。
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