認知症が原因で行方不明になる人が全国的に増え社会問題となっている中、印刷された二次元コードを読み込むことで、徘徊する高齢者の早期発見・保護につなげようと横浜市が進めている「見守りシール」の普及などを目的とした体験会が仏向地域ケアプラザで初めて開かれた。
市の推計値によると団塊の世代が75歳以上になる2025年には認知症高齢者は約20万人 に達すると予測されている。市は18年に本人の身元を特定できる「見守りシール事業」をスタートしたが、普及が進んでいないのが実情だ。
仏向地区ではここ数年、大型マンションが建設されるなどし、新住民が増えたこともあり区内の他地区に比べ高齢化率は低いものの、75歳以上の住民は増加している。同ケアプラでは認知症理解を目的とした講座を開く計画だったがコロナ禍で実施を見送った。
認知症の問題は地域課題のひとつであることから、講座の代替としてケアプラスタッフが目を向けたのが「見守りシール」だった。「福祉職に携わる人でも実物を見たことがなく、二次元コードを読み込んだ経験もない。シールの存在をより多くの地域住民に知っていただくことで、徘徊している高齢者を早期に発見し安全を確保することにつながる」と今回の体験会を企画した。
この日は民生委員やケアマネージャーら15人ほどが参加。認知症高齢者へ声を掛ける際のポイントなどを学んだ後、高齢者に扮し地域内を徘徊するスタッフを見つけ出し、声を掛けながら二次元コードを読み込み、コールセンターへ連絡するまでの流れを実際に体験した。
同ケアプラでは今後、体験会の開催機会を増やしていく方針で、「認知症に対する理解度が高く、徘徊している高齢者に積極的に声がけができる地域になっていければ」と話している。また、今回の体験会で出てきた改善点を市などに報告する予定だという。
タイプは2種類
「見守りシール」は帽子や靴、杖、携帯電話などに貼り付けるものとアイロンで洋服などに付けることができる2種類が用意されている。二次元コードを携帯端末で読み込むとコールセンターの電話番号とID番号が表示され個人を特定。コールセンターから事前に登録されている情報をもとに家族などへ連絡が入る仕組みとなっている。
認知症高齢者対策で警察や行政機関が連携する「認知症高齢者等SOSネットワーク」への事前登録と迎えに行ける家族らがいることが登録条件で、区役所または地域包括支援センター(地域ケアプラザ)で申し込みができる。
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