神奈川の高校野球の聖地とも呼ばれる「保土ケ谷球場」。7月10日に開幕する高校野球の夏の大会では46年ぶりに行われる決勝戦まで23試合が予定されている。数々の名勝負が繰り広げられてきたこの舞台のグラウンドキーパーを務めるサカタのタネグリーンサービス(株)の高橋雄太さん(33)は「高校球児の皆さんにとって夏の大会は特別。いい状態に仕上げたい」と開幕を間近に控え、大粒の汗を流しながら日々、整備にあたっている。
「私たちグラウンドキーパーにとっても、夏の大会というのは特別なんです。力の入る時期ですね」―。整備が行き届いたグラウンドを見渡しながら、話す褐色に焼けた顔に職人としてのプライドを感じる。
1949年に開場した同球場は「神奈川の高校野球の聖地」と称されてきた。東京五輪の野球・ソフトボール競技が横浜スタジアムで行われるため、今夏は出場176チームの頂点を決する舞台となる。
少年時代から植物や自然に興味を抱き、ガーデニングの専門学校に進学。卒業後、現職に就きサッカースタジアムを中心に管理業務に従事し、3年前に中学時代に投手としてマウンドに立った経験もある保土ケ谷球場の整備を担うグラウンドキーパーに着任した。
内野部分は褐色の土、外野部分は青々とした天然芝。人工芝の球場が多くなる中、「野球場らしい球場。『聖地』とされる球場を管理させていただくことは、プレッシャーもありますが、私にとって誇りです」
球児とファンに最高の舞台を
「グラウンド状況で勝敗を決することはできる限り避けたい。球児にとっては一生に一度の舞台ですから」。大会前までの休場期間、1カ月半かけ舞台を整えてきた。
打球のバウンドは表層面から数十センチ下の層の影響も受ける。イレギュラー対策として内野部分の土を20センチほど掘り起こし、緑色の絨毯のような状態に仕上がっている外野の芝生と内野部分の境目には新たに芝を養生。「内野と外野の切れ目をくっきりとさせると球場の印象が引き締まる」。球児と共に球場に足を運んだファンの目を楽しませることも意識している。
待ち遠しい5回裏終了
試合の最中は3塁ベンチ横にある部屋で待機する。グラウンドに出て整備できるのは試合開始前と5回裏終了時点の2回。グラウンドの状態が荒れてくると「気になって落ち着かない」。5回裏が終了すると「気になる箇所」に直行。限られた時間で補修する。
球児の晴れ舞台を裏から支えるプロフェッショナルにとっても熱い夏が始まる。
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