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横浜国大3年渡辺洋平さん 鹿の廃棄ゼロに挑戦 「一点物の財布」に活路

社会

掲載号:2021年7月8日号

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一点物の鹿革財布を手にする渡辺さん
一点物の鹿革財布を手にする渡辺さん

 「毎年60万頭が殺されてしまう鹿の利用率100%に挑戦したい」。横浜国立大学3年の渡辺洋平さん(20)が鹿革でつくった財布の販売を通じ、鹿の廃棄問題に取り組んでいる。4月から実施したクラウドファンディングは、開始14時間で目標金額の30万円を達成。最終日には目標を大きく上回る約110万円が集まった。

 渡辺さんの地元北海道では1日約10件、鹿との交通事故が起きている。農業などへの被害も深刻で、渡辺さんは鹿を「厄介者」と捉えていた。その印象が変わったのは1年半ほど前。鹿の事故の増加理由を調べる中でふと目に留まったデータがきっかけだった。

 鹿の駆除数は年間約60万頭。うち90%以上は廃棄されており、ジビエ料理などに利用されているのは10%にも満たない。渡辺さんは「ただ獲って捨てるだけで良いのか」と駆除された鹿を利用した商品の構想を練った。

傷は「キセキ」

 当初はジビエ料理も考えたが、料理は食べるとなくなってしまう。長く手元に残り、愛着が湧くことを狙って販売商品は財布に決めた。

 目指した財布はシンプルで薄くて軽いもの。革についた傷も活かし、大自然を駆け抜けた鹿の命の「キセキ」として扱った。「同じものはない、一点物です」と渡辺さん。多くの人に手に取ってもらうため、ほぼ原価でクラウドファンディングの返礼品に設定した。

魅力を届けたい

 起業を目指し同大学に進学した渡辺さんは「自分にしかできなくて、社会のためになることがしたい」と考えていた。廃棄される鹿の活用は地元に貢献でき、渡辺さんの思いとぴったり重なる。渡辺さんがミッションとするのは「鹿の魅力を多くの人に届けること」。ブランドは「鹿(Deer)」と「届ける(Delivery)」から取り「ディアベリー」と名付けた。

 「生態系のトップに立つ人間として利用率100%を目指したい」と渡辺さん。今後は商品数拡大のほか、鹿肉を提供する「鹿カフェ」の運営にも意欲を見せる。夏には区民向けにレザークラフトの体験教室も検討中で、場所の提供など協力者も探している。渡辺さんは「事業をはじめてから、多方面の人に支えてもらっている。色々な方のアイデアをお借りしながら多くの人に鹿の魅力を伝えたい」と話した。

 鹿革財布は数量限定で1万4980円(通常1万7800円)。最新情報は同ブランドHP(ホームページ)【URL】https://deervery.com/またはインスタグラム(@deervery.team)へ。

販売している鹿革の財布
販売している鹿革の財布

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