保土ケ谷区 人物風土記
公開日:2024.05.02
「ほどがや☆元気村」の4代目村長に就任した
青木 毅(たけし)さん
上星川在住 79歳
節々に滲み出る優しさ
○…山から湧水が流れ込み、帷子川のせせらぎの音が心地良い―。保土ケ谷区内では貴重な水田を中心とした土地が広がる。「子どもたちに食と農の大切さを知ってもらおう」と、小学生対象の稲作体験などを行っている「ほどがや☆元気村」の4代目村長に今春就いた。会発足から16年間で約700人の児童がこのフィールドで食と農の大切さを学んだ。「稲作体験を経験した後、『お茶碗に米粒を残さなくなった』という声も聞く」
○…保土ケ谷西部域を中心に広がっていた田園風景は高度経済成長期を境に減少の一途を辿った。2000年を迎える頃には、区内唯一となったのが帷子川沿いのこの水田だ。勤め上げた会社を定年退職し「地域への恩返し」を思案していた時、区の広報の中に「元気村」のボランティア募集の記事を見つけた。幼少期を過ごした山梨の祖父母は農家。腕に覚えもあった。「子どもと接するのが好きだから」
○…40歳を迎える頃、現在暮らす帷子川沿いの土地に居を構えた。元気村の活動には15年前から参加する古参スタッフの一人。「会の活動も15年経ち、慣れが怖い。事故なく安全に1年間の活度を終えるよう、農機具などの整備を徹底するようにした」。慎重に言葉を選ぶ語りぶりに、氏の人となりを見る。
○…小田原根府川のみかん畑がもう一つのフィールド。20年ほど前からみかんの木のオーナーとなり、15本の木を育てている。週に1、2度、妻と共に国道1号を西へ。オーナーになった当時は荒れ果てていたみかん畑に手を入れてきた。太陽の光と潮風をたっぷり浴びて実った果実は愛情が加わり格別の味に。みかんの話をする姿は、元気村で子どもたちを見守る時の優しさに満ちた眼差しだ。
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