連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㉟母乳バンクに思うこと
今年の夏休みは、アメリカ・シアトルの娘宅で約2カ月過ごしました。その間、第二子の男孫が誕生。私も抱き上げ寝かせるなど、父親役の代行を体験させてもらいました。
これまでコラムで紹介してきた「人間の赤ちゃんは幼形成熟といって、未熟なままで生まれてくる」という意味と、生まれてから発達するヒトを人間にする一定の期間(大体10才くらいまで)に脳がいろんな刺激を受けて発達する可能性をもつということを体験できました。子育ては母親だけに任せるのではなく、父親や祖父母などが応援して豊かな人間関係を体験させることで、赤ちゃんを人間に成熟させることができるのです。
ところで、アメリカには母乳バンクが15カ所あるそうです。他人のものは実母の免疫やミネラルなどが含まれたものではありませんが、人工殺菌され売買されています。その反面、多くの感染症などへの対応に不安もあります。また、ネットを利用した私的売買も横行、血液の売買にあるようなヤミ組織もできているようです。
しかし、低出生体重児は腸などの働きが弱いため、母乳を与えることで重い病気にかかるリスクを減らすことができます。日本では、低出生体重児の割合が約10%と増加し、東京に母乳バンクができました。母乳が出ない母親を支援するために昭和大学病院を中心に取り組みが始まっているようです。これから高齢出産による低出生体重児の割合が増える中、母乳バンクのニーズがさらに高まっていきそうです。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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