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神奈川区 コラム

公開日:2016.09.08

ミスター高橋の 連 載
「貯筋」の心得
【18】スポーツ心臓の光と影

 拙著『悪役レスラーのやさしい素顔』が文庫化されることになり、加筆と修正を行った。プロレス黄金期と言われる80年代、新日本プロレスに襲来した外国人レスラー担当をしていた私は、延べ千人もの怪物らと寝食をともに日本中を巡業した逸話エッセーである。



 何度もゲラ校正を繰り返すうち涙が込み上げきたのは、かつて苦楽を偕行した何人もの朋友が早死にしており、その大多数が心不全なのである。私はスポーツ心臓の明暗を思い、その一端を記述する気になった。



 スポーツ心臓とは、激しいトレーニングを強いることで心筋壁が厚くなり、一回の拍動で並以上の血液を押し出すことができる性能を持つ。だが、加齢とともにリスクも起こり得る。



 リスク…。壁に突き当たった私は、雑誌で対談をさせて戴いたことのある某大手病院の理事長に教えを請うと、氏は「専門外だが文献を調べて見る」と言って早々の連絡をくれた――。



 心臓を酷使する過激なトレーニングと競技によって厚くなった分の心筋は年月を経るにつれ繊維化し機能は衰退、次第に拡張型心筋症に移行することも在り得るという。結果、心不全に陥る危険もあるとのことであった。スポーツ選手の心拍数は一般人より少ないのは知られている。だが機能が落ちているのに低心拍だと拍出量が足りず全身が酸欠状態になってしまう。心臓はそれを補助しようと、拍動リズムを司る洞房結節以外の部位からも不規則な信号を発し脈拍を早めようとするため、不整脈という疾病にもつながってしまうという。心臓の拍動数は一生で20億回だそうであるから、酷使し過ぎると寿命にも影響するのですね。

 

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