500年の歴史を持つ豊顕寺の住職を務める 今井 満良(まんりょう)さん 三ツ沢西町在住 49歳
「守ることが私の普請」
○…総本山以外の末寺で、現在も万灯行列を続けているのは豊顕寺ただ一つ。時代とともに規模が小さくなっていくことを憂いた先代の父は、より地域住民が親しみやすいよう”こども万灯行列”として伝統行事を守ってきた。「私が子どもの頃は寺の外まで万灯が並び、それはもうきれいでした。失くしたくない行事です」。自身も見てきたからこそ、絶やしてはいけないという責任を背負う。
○…3兄弟の次男として生まれ育つ。三ツ沢小時代から夏休みには毎朝お経を読むなどした。進学校へ入学した兄を見て「僕がお坊さんになるかも」と書いた卒業文集を、祖母が大喜びで親戚中に見せて回ったことが記憶に残る。立正中高、立正大へ進み、仏教の基礎を学びながら休日には父の手伝いをして所作を身につけてきた。卒業後、新潟県にある総本山・本成寺の学林で2年間修行。最高職である管長の付き人として食事も作った。「母に料理のいろはを教わってから修行に向かいました」と笑う。
○…7年前、父からバトンを受けて39代目の住職に。入寺式で心に誓ったのは「先代が残したこの寺を守り、皆さんがお参りしやすい環境を作ることに普請する」。昨年には開創500年を迎え、今年8月に父が他界。重責がのしかかるが「潰れないようにしなければという気持ちが原動力」と背筋を正す。桜が有名な豊顕寺。その昔は花見をしようと大通りに長蛇の列ができ、露店商の間でも屈指の競争率を誇る名所だったという。「桜の木を植えて、当時のにぎわいを復活させてみたい」と、柔軟な発想力は父親譲りだ。
○…たまの休日は2人の息子と過ごす貴重な時間。長男は立正中に進んだが「自分が進みたい道を見つけてくれれば」と優しく見守る。散歩コースとして周辺住民の生活の一部となっている豊顕寺。「講の皆さんと話し合い、現状をいかに良い状態にしていくかが私の普請」とうなずいた。
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