ミスター高橋の 連載 「貯筋」の心得 【20】気分爽快プロレス観戦
久々のプロレス観戦を満喫。その晩は美酒に酔い、女房相手の情懐話が止まらなかった。先月10月16日。レッスル・ワンのチャリティ大会保土ヶ谷スポーツセンターでのことである。今回、あえて観戦記を書きたくなったのは、私がリングに上がっていた頃とは場内の雰囲気がガラッと変わり、目にする全てがすこぶる健康的だったからである。
見事にショーアップされた試合パフォーマンスもさることながら、観戦マナーの良さには心底驚かされた。プロレス愛溢れる観衆の乗りが、浦島太郎状態の私にはまさに夢空間。歴史は確実に変貌を遂げた。昨今のファンはプロレスを心から楽しんでいると痛感したが、かつては憂さ晴らし目的の来場者も少なくはなかったのだ。往時の業界はプロレス真剣勝負を頑なに主張。しかし、中には懐疑を抱く観客もおり、その噴根が招いた暴動事件は何度も起きた。一時期プロレス崩壊の危機とまで言われた時代には、「屁理屈言わずに黙って観てろ」という手前味噌なアングルもあった。ところがファン側も抵抗を示し、次第に客足が遠のいてしまったのである。そのような疎ましい教訓が今日のレスラーとファンの融和を生んだのではないだろうか―。
さて、メインイベントで勝利を手にした地元出身のKAI選手。躍動的決め技のダイビング・ボディプレスにも目を見張ったが、試合後にマイクをつかみ観客に語りかけた至言には痛く感動した。「プロレスはレスラーだけでは出来ません。お客様あってのプロレスです」。大入りの観衆は拳を突き上げ「ありがとう」を絶叫。歓喜の渦が天井を震わせた。場内はその日の秋晴れ同様、実に爽やかだった。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|