連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㊻水中出産で生まれたスイマー
リオ五輪で活躍された競泳の池江璃花子選手は水中出産でうまれ、イルカのように速く優しいスイマーに成長されたそうです。
イルカも人間と同じ一回のお産で一頭しか産まない単胎の哺乳動物ですが、陸上の動物と違って水中でお産します。産婆さん役の雌イルカが付き添う中、母イルカのお腹からイルカの尾が出始めて(人間なら逆子の生まれ方です)、無事に水中でへその緒が自然に切れるとみんなで元気な赤ちゃんイルカを水面へ押し上げてやり、最初の空気呼吸をします。人間のようにオギャーと鳴きませんが、これがまさに最初の呼吸となり、すぐに泳ぎ出します。
人間の水中出産の場合も人工的な施設の中ですが、ほぼ同じように母親のお腹の羊水と同じ体内温度環境を再現して行われます。水中でのお産の主な特徴は、母子ともに痛みが少なく、羊水と同じ温度や水の環境で母体をリラックスさせるので恐怖の波動が少なく安心だといわれます。
水中出産は、空中出産に比べて胎児が母親の羊水からいきなり空中へ飛び出さず、穏やかな水の中で一時的に数分程度過ごしてから、母親と繋いでいたへその緒が切れて、ゆったりと空中へ取り上げられて静かに呼吸が行われます。私がこれまで、野生のイルカや水族館の出産シーンを観察した経験から思うことは、そうしたゆったりとした時間を経て生まれる赤ちゃんから、立ち会ったみんなが「生きる喜びと力」をもらい癒されるのだと思います。(自著『イルカの學校』55頁)
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一(問)iwashige@gmail.com】
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