能登半島地震の医療災害対策本部DMAT本部長を務めた 竹内 一郎さん 横浜市立大学附属病院勤務 51歳
ぶれずに災害医療を支える
○…能登半島地震があった石川県の医療災害対策本部DMAT(災害派遣医療チーム)本部長を1月19日から25日まで務めた。全国から集まってくるDMATの統括役として、戦略を決定したり地元行政と連携するなどの任務を担った。「急性期医療を支援するDMATは短期で現地を撤退し、地元の人に引き継ぐのが役割」の中、今回の被災地は「高齢化や過疎化、介護者がいないという日本が抱える課題が噴出した」と振り返る。
○…和歌山県御坊市出身。人口3万人ほどのまちでのびのびと育った。中高はバスケ部に所属。理系の中で人と接し、やりがいがある仕事をしたいと医師を志すように。「和歌山を離れ違う世界を見てみたい」と群馬大学医学部に進学。野球部に所属し主将も務めた。
○…北里大学病院に勤務していた35歳の頃、循環器内科から救命救急に出向になったことをきっかけに救命救急の道に。「行政などと連携して地域の医療体制をつくっていく」仕事に「非常にやりがいと魅力を感じた」と話す。17年に横浜市立大学救急医学教室の二代目主任教授として就任。高度救命救急センターのセンター長も務め、同大学附属病院と同市民総合医療センターを行ったり来たりする日々を送る。
○…強く印象に残っていることに、現場責任者として対応した津久井やまゆり園の殺傷事件や、市の急性期医療の責任者として対応したコロナ初期のダイヤモンドプリンセス号での感染症対策などをあげる。「覚悟を持って今何をしなければいけないか、優先順位を決めていくのは生易しいものではない。批判も伴うし、正解はないが、方針を決めていくのが仕事」。「ぶれずに進める」をモットーに人材育成を含めた救命救急医療に力を尽くす。
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