宮前区 コラム文化
公開日:2020.07.31
タウン探偵団 ファイル13
語り継ぐ戦争と遺物
今年で終戦75周年。前回に続いて、エージェントTが戦争の遺物を紹介する。遺物を発見したのは馬絹のあるお宅、話をしてくれたのは88歳の男性。とすると終戦時13歳で、今ならば中学生だ。
現宮崎中学あたりにあった東部62部隊の兵舎などは、終戦し進駐軍によって爆破されたと話してくれた。朝鮮動乱の5年後にあっても放置され「いらないから持っていけ」と持ち帰り、自宅裏で錆びながらも尋常でない厚みでずしりと重い鉄板は、戦車のフタ部分=写真右=だったという。
戦中、B29が焼夷弾を落とすのが自宅から見えた。「落とすときに、少し機体が傾くんだ」。港北区の方に高射砲があり、弾が近くの竹林に落ちたことも。62部隊には模擬砲弾があり、薬莢=写真左=のみだが、凄い大きさが見て取れる。
今も思い出すのは東京大空襲の日。「東京が燃えている」と夜中の2時に起こされ裏の山から東京を望むと「空が焼け、夜中にも関わらず影ができた。今もはっきりと頭に浮かぶんだよ」。
戦争を体験し、話ができる人たちは少なくなっている。悲しい、貴重な体験は語り継いでいかなくては。男性が最後に呟いた一言がずしりと響く。「戦争はだめだ。二度とやっちゃいけない」
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