川崎市は、災害時に自力で避難できない人の逃げ遅れを防ぐ「要援護者避難支援制度」に避難行動計画を活用する方針を示した。町会らで構成する自主防災組織を対象に市が実施した調査によると、昨秋の東日本台風時に「支援ができなかった」団体は6割以上。市は、要援護者の行動計画の作成を進め、迅速な避難を促す。
市は、要援護者避難支援制度に災害時、自らの行動を時系列で記す避難行動計画(マイタイムライン)を活用方針を掲げ、支援組織と共有する取り組みを進めている。
台風上陸の前日や洪水警報が発令されたときなど、いつ、誰が、どのような行動をとるか決めておくもの。要援護者が避難行動計画を作成することで、受けたい支援を明確にし、迅速な避難につなげたい考え。
市は避難行動計画の作成について、要援護者と関わりのあるケアマネジャーなど福祉事業所、高齢者・障害者支援団体などにも作成の協力を依頼する。
また、制度では、平時に「訪問による支援内容の確認」を推奨しているが、実施有無の実態は把握していなかった。
市は、自主防災組織に対し、要援護者へ訪問実施の有無を調査し今月末までにまとめる。来月に行われる自主防災組織連絡協議会の役員会議で報告し、要援護者への訪問実施を呼び掛ける。
「実施できず」6割
市は昨秋の東日本台風を受け、今年1月に市内の自主防災組織744団体を対象に制度の活用状況を把握するアンケート調査を実施。回答のあった493団体のうち310団体が「避難支援ができなかった」とし、理由に「対応の仕方がわからなかった」などが挙げられた。高津区内の自主防災組織の代表を務める男性は「各町会の自発性に任せすぎ」と指摘する。
市担当者は「共助を支援する制度のため、周知が不十分だった。できるだけ福祉事業所や支援組織などの呼びかけを進めていく」と話す。
この制度は、在宅の高齢者や障害者らが登録し、自主防災組織などから避難支援を受ける。2007年から導入され20年3月末現在、5434人が登録している。
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