高津区版 掲載号:2019年4月26日号 エリアトップへ

特別インタビュー 高津区の平成、新時代とは 高津物語執筆者 鈴木穆さんに聞く

文化

掲載号:2019年4月26日号

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 新元号「令和」が発表され、30年続いた「平成」が間もなく終わりを迎える。平成8(1996)年5月23日創刊以来、22年9カ月、1085回にわたり高津の文化や歴史について執筆してきた鈴木穆さんに高津区の平成、さらに新時代について、話を聞いた。

 「平成に入り、溝口駅前は本格的に再開発が始まったね。どんどん街が変わっていった」と変遷をたどる。

 平成元年に「池貝鉄工所」(坂戸)の跡地に開所したかながわサイエンスパーク(KSP)に始まり、平成9年に溝口駅前の商業ビル「ノクティ」、平成11年に円筒分水をかたどったキラリデッキが完成するなど溝口駅を象徴する施設や建造物は平成に生まれている。

 駅を中心に大型マンションも増えた。人口の増加とともに、商業施設も増え、田園都市線の主要ターミナル駅のひとつとして発展をしている。

 「高津は平成になり、初めて街づくりが行われたように思う」。そのように感じるのは、戦争の記憶が色濃く残るからだという。

 ライフルの照準器など軍事用光学機器を製造していた日本工学工業(現洗足学園の場所)を始め、現在の溝の口駅周辺には軍需工場、陸軍東部62部隊などがあった。

 「溝の口駅の南口側の坂(高津区役所東側交差点)は(兵役につく人と)家族とのお別れの坂だった。最後の別れの場所だった」、「9歳のときに大山(伊勢原市)に学童疎開する同級生を見送った光景は昨日のことにように覚えている。食べるものがなくて、大山から歩いて帰ってきた子もいるんだよ」と、ぽつり、ぽつりと鮮明に残る戦時中の記憶を語る。

 「忘れろと言われても無理なんだ。もちろん発展は立派なこと。でも、どんなに街が賑やかになっても、手放しでは喜べない自分がいる」と率直な思いを話す。さらに「それは悲しいことだよね」とも。

 1000回以上にわたり連載し、先頃、最終回を迎えた高津物語について「『高津区が好き』ということを誇りを持って紹介してきた。その原動力は、昭和の悲しさを払拭したいというということにあったのかもしれない」。だからこそ「戦争も、災害もない、平和な日が続くことを、そうした時代になってほしいと願うばかり」と話した。

「高津物語」、書籍で

 連載第1回から第772回までを収録した書籍「高津物語」上巻・中巻・下巻を販売している。2000円(税別)。取り扱い書店は、北野書店(幸区鹿島田)など。

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