高津区 社会
公開日:2022.08.26
【web限定記事】
川崎市の「ふるさと納税」他自治体との明暗くっきり
山梨県富士吉田市の職員による講演で浮彫りに
川崎市と山梨県富士吉田市の職員が8月2日、市役所第2庁舎(川崎区砂子)で行われた関東若手市議会議員の研修会で「ふるさと納税制度」をテーマに講演。成功の秘訣を示した富士吉田市に対し、川崎市は同制度の課題を挙げた。
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制度利用の成功例として富士吉田市ふるさと納税推進室の萩野美奈枝室長はリモートで講演。同市の2021年度の寄付金額は全国で9番目の約72億円だったことについて、返礼品に市ならではの付加価値をつけたことが関心の高さにつながった要因と分析。寄付者に対してアンケートを行い、答えた人を感謝ツアーに招待するといった取り組みを行っていると紹介。「返礼品を送っておしまいではなく、きっかけに市のファンになってほしい」と力説した。
川崎市の同制度についての現状を市財政局財政部の土浜義貴資金課長が報告。制度を通じた市の市税流出額は約103億円。横浜市、名古屋市、大阪市についで4番目だが、川崎市は地方交付税の不交付団体のため実質全国1位だと強調した。「本来市税は市民サービスのために使われるもので、市税が流出し市財政に深刻な影響を与えている実態は看過できない」と訴えた。返礼品目的の寄付が多いこと、高所得者が税負担の軽減目的に利用していることも問題視。同税による市への寄付受入額は約9・3億円(21年度)にとどまると指摘した。
同氏は世話になった地域へ感謝の気持ちを伝えたり、税の使い道を自らの意思で決めるという同制度の理念には共感するという。一方で寄付に頼った財政運営では何らかの理由で寄付金が入ってこなかった場合、その自治体は成り立たなくなるとの懸念を示した。
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