議会報告 三沢川完全排水の実現案が示された― 令和元年東日本台風被災からの教訓 ― 川崎市議会議員 上原まさひろ
市は1月、令和元年東日本台風の市内被災を教訓とする、三沢川流域の「完全排水」を実現させるインフラ整備案を示した。当該地域の雨水排水機構の整備とこれを実現するポンプ施設の設置を求めてきたが、まさに実現する見込みとのことだ。被災と教訓を風化させないため、これまでの経緯を振り返る。
■責任所在が曖昧であった三沢川流域
そもそも三沢川流域を中心とする菅地域には、雨水排水の機能を大丸用水などの水路など自然流下に任せてきた。また発災当初、大丸用水は、農業は経済労働局、管理は道路公園センターなど、市内でも所管部署が複数にまたがり整理されていなかった。稲城市も当然関係してくる中、三沢川は県の管理、多摩川は国と、多くの主体が絡むが、市は精一杯の計画を示してきたこととなる。
■ 浸水被害があったが、令和元年東日本台風の被害で表面化した脆さ
これまでも複数箇所での浸水被害の報告はあったが、抜本的解決をする動きにはつながらなかった。ハード整備において三沢川流域は浸水対策重点化地区に指定されていたにもかかわらず、対策は遅く十分な範囲と量をカバーできていなかった。
■自民党代表質問で触れ、予算獲得。ついに完全対策への道が見えた
発災以来、多方面での議論と協力を経たが、最終的に下水的手法での解決の方向性が見えたが、令和3年12月には上原は自民党代表質問の機会を得て、更なる対策を求めた。令和4年度予算要求を経て、ようやく令和5年1月、三沢川流域の浸水被害を完全に防止するための計画が示された。
■県との連携、稲城市との協調が決め手
今回の計画の決め手となったのは、市での議論はもちろん、県との連携だ。三沢川の管理者である県での協議に加え、地元事情を熟知する土井隆典県議の働きかけもあり、県は三沢川流域の雨水の受入量の抜本的拡大を取り付けることができた事が決め手だ。また上流の稲城市との協調も、上原自身も稲城市を視察、さらに市長訪問を経て、2市のつなぎ役の一助となることができたのではないかと考える。
■課題はよりソフト面にシフト
まだ道筋が見えたに過ぎない。昨秋、防災士資格を取得したが、防災に「完全」はない。今後は、有りとあらゆる状況を想定しながら、市民間の防災の取り組みを進めるには、時には専門家の知恵を借りるなどの補助、助成が必要と考えられる。町内会自治会活動助成金は成立したが、防災メニューには使いづらいのが実態。自主防災組織などに使いやすいメニューを作り出す必要があると考える。
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9月6日
8月30日