市教育委員会はこのほど、第6回市地域文化財27件を決定した。
2017年12月に創設した市の顕彰制度に基づき、市民の生活や文化、地域風土に根ざして継承されてきた文化財を明らかにし記録するもの。法令や条例により指定・登録がされていない文化財を対象に、市内の社寺や歴史・文化財に関係する団体、小学校などが推薦する。第6回までで地域文化財の総数は240件(うち多摩区は54件)。今回決定した多摩区内の地域文化財は次の5件。
◆菅町会の火の見及び半鐘(1基)有形文化財(建造物)
鉄骨造の火の見やぐらが第二次世界大戦中に金属供出され、戦後に木造で再建。1958年に鉄骨に建て替えられた。83年の菅会館建て替え後、火の見やぐらの一部を会館屋上に移設し現在に至る。地域の防砂意識の高さを物語るもの。屋上のため見学は不可。
◆鯢山先生之碑(1基)有形文化財(歴史資料)
江戸時代後期に登戸で医師、手習い・漢学の師匠として慕われた阿部益齊(号は鯢山)をたたえる碑。医療の傍ら、登戸の光明院で寺子屋を開き、庶民の教育にあたった。近世の登戸地区における文化・教育活動を伝える資料。光明院境内にあり自由に見学可。
◆妙楽寺の石造十王像(一括)有形民俗文化財
閻魔王ほか十王の石像、地獄の奪衣婆や鬼卒などの石造が妙楽寺境内の十王堂に安置されている。江戸時代後期のものとみられ、地域の十王信仰を示す資料。妙楽寺境内にあり自由に見学可。
◆オシ沼切通し多摩ローム層模式露頭剥ぎ取り標本(7点)記念物(地質・鉱物関係)
生田緑地周辺は多摩ローム、おし沼砂礫層など、関東ローム層ほか火山噴出物の研究拠点として研究者や学生に知られている。この標本はかつて生田緑地近くにあった「オシ沼切通の露頭」(地層が露出している場所)の表面を宅地造成時に剝ぎ取った標本。13枚に分けて剥ぎ取り、かわさき宙と緑の科学館に保管されている。普段は見学不可。
◆大師穴(1基)記念物(遺跡関係)
妙楽寺裏山にある。江戸時代の名所や風俗を紹介した『江戸名所図会』に、「地域の人々は『大師穴』と呼ぶ」と紹介されており、山伏が修行していたと伝えられている。元は7世紀頃の横穴墓。見学不可。※写真はいずれも市提供
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