県立麻生総合高校(麻生区片平)3年1組の生徒が、性の多様性やジェンダー平等について議論し、9月6日と7日に行われた文化祭でパネル展示や男女で制服を交換する「セクスチェンジ」を行って学びを発表した。生徒は「前より自分事として考えられるようになった」と理解を深めた。
「男子のスカート」契機
「スカートを履いてみたい」。7月、文化祭の企画を決める際に一人の男子生徒から声が挙がった。それを受けて「全員でスカートを履くのはどうか」というアイデアが生まれ、クラスメイトが賛同。「悪いことじゃないし、やりたいことはやろう」「面白そう」と肯定的な意見が飛んだ。一方で、クラスの外からは「来場した人が不快な気分になるかもしれない」「わざわざ学校でやらなくても」といった声も聞かれたという。
こうした反応を受け、クラスで再度検討。アンケートをとると企画を変えたいという意見は出ず、生徒の7割が賛同、3割が中立の意思を示した。担任の清水健太郎教諭は「せっかく出た声をうやむやにしたくない」と生徒たちの考えを尊重し実施へと動き出した。
互いの立場に気付き
夏休み明けには「無意識の価値観〜当たり前ってなんだろう〜」とテーマを定め3回の事前学習を行った。「男女の違いやそれぞれの困りごと」「誰もが使いやすいトイレ」「LGBTQ+(性的少数者)への理解」を題材にクラスで議論。生徒は「自分が思う当たり前は当たり前じゃない」「準備はほかのクラスより大変だったかもしれないが将来的に必要な考えだから苦ではなかった」と振り返る。
当日は学習の成果をパネル展示したほか、男女で制服を交換し性の違いや自分自身について考える「セクスチェンジ」と呼ばれる取り組みを実施。男子生徒は「スカートは中が見えてしまいそうで気を使う」と気付きを語り、女子生徒は「本当はいつもズボンがいい。履いてみてしっくりきたし、自分らしいと感じた」と笑顔を見せた。
自分事に
加えて、生徒たちは学校案内のパンフレットを例に、色による「性」のイメージなどについて来場者を対象にアンケート調査を実施。今後、その結果をもとに学習を進める予定だ。一連の取り組みを通し、生徒は「人口の約10%はLGBTQ+だと知った。身近にもいるかもしれないなどと、より自分事にして考えられるようになった」と学習の成果を語った。
清水教諭は「お互いの苦労を知るきっかけにもなったと思う。やりたいことをやって受け入れられればいいし、そういう人を見ても変に気にしないという気持ちをもってほしい」と期待を寄せる。文化祭の統括を担当した教諭は「多様な意見もあったが生徒たちが意図を明確にし、真剣さと目的意識をもって取り組んでくれた」と語った。
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