シリーズ 不育症を考える
宿った命との別れの辛さ。不育症で苦しむ女性は幾度となく直面してきた。情報不足で、病気だということも知らず、何度も流産や死産を経験。「何で自分だけこんな目にあうのだろう」や「自分の責任だ」などと様々な感情を抱え自分を追い詰め、うつ病にかかる女性も少なくない。不育症は、まだまだ認知度が低く、研究は始まったばかりだ。2回目の今回は、この病気の現状を探った。
第2章 不育症の現状
不育症とは、妊娠はするが流産や死産を繰り返して生児を得られないことをいう。厚生労働省の研究班の調べでは、妊娠した女性の約16人に1人という高い割合であることがわかった。 横浜市に住む女性(33)は27歳の時第一子を出産した。2年後、そろそろ子供がほしいと思い、まもなく妊娠。第一子同様、順調に育つかと思いきや妊娠初期で流産してしまった。その後も同じように流産を繰り返してしまった。そして検査を進められ、不育症と診断されたのだ。このように出産を経験しながらも、突然発症するケースもある。血液の凝固異常や、夫婦の染色体異常、甲状腺の異常、子宮の形態異常など原因は様々で未解明な部分が多い病気でもある。様々な要因があるものの、研究が進んだ結果、原因にもよるが治療をすれば80%以上の確率で出産できるという。
そもそもなぜ今まで研究がなされてこなかったのか。
「大きな原因として流産は治療の対象になってこなかったことがある」と厚生労働省不育症研究班の関係者は話す。一昔前は、流産は胎児側の染色体異常というかたちで片付けられてしまってきたため、流産のことを研究する医師が少なかったが、近年研究が進み、色々なことがわかってきた。様々なリスク因子も発見され、産婦人科医の間でも不育症が認知され始めた。ただ、研究してきた医師が少ないため専門院は全国でわずか十数カ所。相談所などを設けている自治体や関係機関も殆どない。不育症の認知が広まり始める一方、患者の受け皿が少ないという問題点もある。
このような現状を受け不育症の研究班では、現在医療関係者向けにセミナーの開催や手引きの作成など、様々な活動を行なっている。以前はバラバラだった治療方法も統一に向け大きく動き出し、不育症患者の環境も整い始めている。
次回は自治体の動きと費用について探る。
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10月11日
10月4日