2024年度に川崎市内の3カ所の児童相談所や区役所が受け付けた児童虐待相談・通告件数は、前年度比6・9%増の5601件だった。川崎市が集計をまとめ、5月30日に発表した。
市の集計によれば、24年度に児童相談所に寄せられた相談・通告件数は4270件、区役所に寄せられた件数は1331件だった。相談ルートとしては、「警察経由」が1873件と最多で3割以上を占め、「学校」588件、「近隣・知人」が502件で続いた。
市は児童虐待防止策として、警察との連携に力を入れてきたという。担当者は「(件数増加は)警察の丁寧な対応の結果だと思う」と話す。
虐待の種別では「心理的虐待」が57・0%、「ネグレクト(育児放棄)﹂22・4%、「身体的虐待」が20・1%、「性的虐待」は0・6%。子どもの年齢は小学生が3割以上を占め、0歳〜3歳未満も3割近かった。
深夜に自ら相談に
川崎区・幸区・中原区の事案を担当する「南部児童相談所」(幸区)の右田佳子所長は、「近年は児童虐待に関する市民の意識が高まり、警察に通報するハードルが下がった」と語る。「隣の部屋の赤ちゃんが泣きやまない」「商業施設で激しく泣いている子どもを見た」といった通報もあり、かけつけた警察官が「虐待の可能性がある」と判断した場合、児童相談所で対応している。
子どもが自力で「SOS」を出すケースも増えた。コロナ以前は子ども自身が相談を寄せるケースは30件前後だったが、23年度は98件、24年度も93件と3倍以上。深夜に子ども一人で一時保護所を訪れたケースもあるといい、右田所長は「コロナ禍で子どもからの相談が増えたことに加え、自殺やいじめの問題もあり、子どもが『嫌なことは嫌だ』と発信する方法を学ぶ機会が増えた」。しかし早期の段階で被害を訴える子どもは多くはなく、思春期を迎えた中高生は特に対応が難しいという。右田所長は「サインを見逃さないよう、引き続き丁寧に向き合っていく」と話していた。
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