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さがみはら南区 人物風土記

公開日:2012.08.23

インターハイ男子やり投げで優勝した
柿島 裕(ゆたか)さん
南区上鶴間在住 18歳

「あ、消えた」。全国一の放物線



 ○…陸上界では決して大きくはない174cmの体から放たれた放物線。しかし手から離れた瞬間、その行方が分からない。キレイに空へ伸びた槍は一点となり視界から消え、場内アナウンスで結果を知った。一度も出したことのない66m越えの大記録。ただただ信じられなかった。「いつも練習では記録は伸びないのに大会では出るんです。でもまさか、この距離には驚きです」。インターハイ優勝は、麻溝台高校、初の快挙だ。



 ○…高校に入り体力測定が行われた時。ボール投げで出た記録が陸上部顧問の目にとまった。「やり投げをやってみないか」。当初は短距離をと考えていたが、誘われて面白そうだと始めた。当時いた2人の先輩が卒業した後の1年間は、同校唯一のやり投げ選手に。競い合うライバルは他校に、刺激し合う仲間は同じ部内に求めた。「自分は陸上環境に恵まれた。一人じゃないって気持ちでした」。インターハイ当日、握りしめていたのは部員からのメッセージ付き手作りお守りだった。



 ○…肩が強いのは、小・中学校で続けてきた野球部で鍛えられたため。右利きだが、投げるのは全て左で。幼少時代から外で遊ぶことが大好きなスポーツ少年だった。陸上に励んだのは、家族の中でも自分だけ。練習の合間には、ボーリングなどで友達との時間を楽しむ。



 ○…入部から半年経った時大きな怪我に見舞われ、体を動かせない時期が何ヵ月も続いた。その間出来たのは筋トレのみ。体が回復して以降は、その反動からか思い切り練習に打ち込んだ。「怪我の悔しさ、そして治った嬉しさから、今まで一生懸命できたのかもしれない」。”4年後”という大きな目標を意識するというよりは、まずは小さな課題をコツコツと、そして着実に。「今回がまぐれだったと言われないよう、高校最後まで練習もしっかりこなしたい」。力強い放物線は今日の自分を越えていく。

 

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