海老名・座間・綾瀬 文化
公開日:2022.10.14
元記者浅田勁さん
身近な歴史を語る
「鎌倉殿」と渋谷氏に焦点
綾瀬市在住の神奈川新聞元記者、浅田勁(つよし)さんが7日、鎌倉時代初期に現在の綾瀬市一帯を治めた渋谷氏一族と鎌倉幕府について講演した。綾瀬市立中央公民館が主催するこの講座は当初、定員15人で開催する予定だったが想定を上回る人気で定員を倍増して開催した。
浅田さんは、2020年10月から約半年間、神奈川新聞の連載「女たちの鎌倉幕府」を執筆。今年2月には著書「女たちの鎌倉幕府―19人の女性と北条義時を描く」を上梓した。
この日は、鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」に登場する渋谷重国や子の高重、時国らの視点をまじえ、鎌倉幕府で繰り広げられた権力闘争について浅田さんが解説した。浅田さんは「綾瀬で生まれ小中学校に通ったが、渋谷一族の話は聴いたことがなかった。50代で赴任した横須賀で初めて渋谷一族を知り、そこから少しずつ学んできた。身近な一族を通して、日本の歴史や社会を学んでくれたら嬉しい」と話した。
渋谷氏は、源頼朝が挙兵した1180年には平家方の武将だったが、一ノ谷の戦いや壇ノ浦の戦いに繋がる木曽義仲の追討では、頼朝の弟、源範頼と義経に従った。参加者から渋谷氏のこうした変遷について見解を求められた浅田さんは、「どちらに転んでも生き残る術があったのか、状況の流れをよく読んで生き延びた一族だったのではないか」と、独自の見解をもとに渋谷像の仮説を立てた。
参加者で綾瀬市史跡ガイドボランティアの会で活動する松野政男さん(76)は「浅田さんの著書を読んで参加した。仲間たちと吾妻鏡の研究をしているが、分かりやすい解説で有意義な時間だった」と話していた。
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