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海老名・座間・綾瀬 文化

公開日:2024.02.09

孤独と孤立×現代美術展
好き嫌いは言葉を超える
否定も肯定もない社会へ

  • 他人の好きと嫌いを吟味する参加者(左は鈴木康広さん)

  • 参加者に寄り添う鈴木さん

【好きと嫌いの詩】

 私は好き 散歩 夏 アウトドア 海産物 辛ラーメン

 私は嫌い 空気の読み方 マルチタスク 満員電車 蛇の歩き方 数の子のコリコリ

 好きと嫌いを思いつくだけ書き出して、その中から5つを繋げて詩にする―。1月30日に座間市内で開かれた現代美術展のワークショップに参加した16人が自作の詩を朗読した。その様子を記録した音声と映像も編集して、プロの作品とともに展示する。

 座間市役所で2月20日から26日まで、「孤独・孤立」をテーマにする現代美術展が開催される。会場には1階ロビーと7階展望フロアを使い、アーティスト・鈴木康広さんの代表作『空気の人』などを展示する。市の相談支援を受ける市民らが鈴木さんとのワークショップで生み出した作品とコラボして、社会課題とされる孤独や孤立に迫る。

詩も展示作品に

 参加者の詩は、自分の「好き」と「嫌い」で構成されている。作品を朗読したあとで、16人が書き出したメモを並べて、他人の「好き」と「嫌い」で、もう一度自分の言葉を紡ぎだす。これにより「好き」と「嫌い」の曖昧さが体感できて、自己肯定感の向上にも繋がる―。

 鈴木さんは、「誰かが提案した好きと嫌いが他人の好きと嫌いになり、自分の好きが他人の嫌いになることもある。そこに否定も肯定もない。そういう状態を生み出せるのがアートでもある」と、ワークショップの意図を明かした。

 さらに、「行政からこのようなお声がかかるとは、想像もしていなかった」と述べ、現代アートの新たな可能性に期待を寄せる。

 ワークショップに参加した20代の女性は、「ありのままを表現して良いと思えて、安心した」といい、30代の男性は「普段は意識していないことに他の人は好き嫌いを感じていて面白いと感じた」と話した。この2人は、市の相談員と自らの孤独感を共有してきた。

 座間市には昨年1年間で約400件の孤立や孤独に関する相談があった。今年4月には、「孤独・孤立対策推進法」が施行される。孤独や孤立により「心身の有害な影響」を受けることを社会全体の課題と捉え、国や自治体にはその当事者が安心して社会生活が送れるようにするための取り組みが求められる。

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