神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の溝の口支所(川崎市高津区)にある光触媒ミュージアムに刺激を受けた大和の高校生が、7月にアラブ首長国連邦・ドバイで開催される「国際化学オリンピック」に日本代表として出場する。高校生の背中を押して学びを支えたのは、KISTECの研究員たちだった。
「国際化学オリンピック」に出場するのは、大和市在住で三田国際科学学園高等学校(東京都世田谷区)の高校3年生、早田茂さん(17)だ。全国の高校生が化学の実力を競う「化学グランプリ」で優秀な成績を収め、「オリンピック」の日本代表の一人として選抜された。
早田さんが「オリンピック」に挑戦しようと決意したのは、2023年12月のことだった。ある日の放課後、「リンモリブデン酸アンモニウム」について調べるため、東急田園都市線・溝の口駅で途中下車し、かながわサイエンスパーク(KSP、川崎市高津区)内にある県立川崎図書館を訪れた。この時、KSP内の「光触媒ミュージアム」(藤嶋昭館長)にも立ち寄ったが休館日だった。「光触媒の『ミュージアム』に、何があるんだろう?」。化学の知識が豊富で探究心旺盛な早田さんは、日を改めることにした。
早田さんはミュージアムを再訪すると展示を丹念に見ながら、空気清浄機や生活用品など、光触媒が幅広い用途に製品化されていることに驚き、そばにいたスタッフを質問攻めに。その様子を見たKISTEC研究員・濱田健吾さんが、早田さんに「挑戦してみては」と手渡したのが、「オリンピック」の選考を兼ねる「化学グランプリ」の要項だった。
その帰り道に決心したという。「自分の実力を試してみたいと思った」
軌道修正
早田さんは昨夏の「化学グランプリ」に挑戦。日ごろの学習の成果を発揮し、「オリンピック」の代表選抜に進んだ。しかし選抜試験の過去の問題は非公開のため、勉強方法に迷ったという。そこで濱田さんにメールで相談を寄せ、濱田さんは上司の落合剛さんと情報を集め、「応用力が問われるはず。暗記ではなく応用を意識して」とアドバイスした。2人からの度重なる助言に早田さんは、「勉強の方向性を軌道修正してくれた」と感謝を述べる。
今年3月、早田さんがKISTECを訪ねてきた。満面の笑みで「オリンピック」代表に決まったことを報告。2人も大いに喜び、祝福した。
将来は、「光触媒」を発見したミュージアムの藤嶋館長のように、「自分の研究が新しい分野を生み出せるような研究者になりたい」という早田さん。まずは決戦の地・ドバイで、金メダル獲得を目指している。
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