どんぐり食品の研究家という異色の肩書をもつ85歳、「どんぐり源さん」こと平賀国雄さん(海老名市在住)が、座間市入谷で念願の開発室を立ち上げた。最終目標は「平和社会」という平賀さん。開発にかける思いを聞いた。
マンションの一室、20平方メートルほどの開発室にはどんぐりと機器が所狭しと並ぶ。拾いたてと思しき土色のどんぐりは玄関に、洗われてピカピカになったものはカゴに入れられ、食品に変身するその時を待っている。「秘密基地みたいでしょ」。にっこりと少年のように笑うのが「どんぐり源さん」こと平賀国雄さん、その人だ。
愛称は、江戸の発明家・平賀源内に由来するが、その研究熱は、「本家」にも引けを取らない。
どんぐり煎餅を皮切りに、ラーメン、パスタ、ピザ……これまで数多くの「どんぐり食品」を手掛けてきた。2012年には、障がい者の自立支援をめざし、どんぐり料理を提供する「三ツ境どんぐりヒルズ」(=横浜市/(株)まちふく)の立ち上げにも携わり、翌年には「町のノーベル賞」と呼ばれる「東久邇宮(ひがしくにのみや)記念賞」を受けた。現在もその情熱は冷めず、 霊芝(れいし)入りの特製どんぐり味噌の商品化に向けて新品のハンマークラッシャーを相棒に日々開発に没頭している。
開発室の開所とクラッシャー導入の資金調達には「クラウドファンディング」を活用。WEB上で活動をPRし、共感したサポーターから出資を募る新しい資金調達法だ。35万円の出資が集まり、遠くはニューヨークからもエールが届いた。
人と違う「何か」で社会貢献を
かつては金融機関でサラリーマンをしていた平賀さん。40代で大ベストセラー「複合汚染」を読み、人工的な農薬や食品添加物などへの危機感を覚えた。
生来の、人と違うことをやりたい性格が刺激されて脱サラ。有機農業や竹炭・ケナフにまつわる研究を経て、たどり着いたのがどんぐりだった。着目したのはその栄養価の高さ。ビタミンCの含有量ではレモンにも引けをとらない。味に癖が少なく、使える食品の幅が広いのも魅力だ。
「せっかく実をつけても、廃棄されてしまうのが現状。縄文人たちはこれを主食に、平和に暮らしていたのにね」。うまく普及すれば、輸入頼りの日本の食糧事情も改善されるかもしれないと、どんぐりに無限大の可能性を感じている。「縄文人の生活は、争いもなく心にゆとりがあった。現代人も、見習えるところがたくさんあるんじゃないかな」
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