28m先の直径一尺二寸(36cm)の的に向かい、矢が放たれていく――。
県立綾瀬高校弓道部に所属し、8月17日から行われる第21回紫灘旗全国高校遠的弓道大会(福岡県久留米市)に県代表(4校)として出場する。遠的は60m先にある直径100cmの的を狙う。
弓道を始めたのは高校に入ってから。「弓道は知っていたけど見たことなかった。先輩たちが静かにピシっとする姿を見て、『やってみたい』と思いました」という。
弓道には「難しさ」と「楽しさ」が入り混じっているという。「自分ではうまく矢を放てたと思っても、的に当たらないこともある。自分では同じ動作を続けていると思っていてもそうならなかったり…」。何がいけなかったかを自問自答し、動作や姿勢、気持ちなどを一つひとつ確認していく。先生や先輩に見てもらって直すこともあるという。矢を放つ順番を待っているとき、その言葉や自分自身が気づいたことなどを意識していく。そして心を落ち着けて動作に入っていく。
火曜日から日曜日まで練習が続く。70〜80射ほど弓を引く。平日は授業が終わった4時から6時まで。休日は朝9時から11時半。昼食をはさんで3時まで自主練が続く。日々の練習の中で何かを感じ、それを少しずつ体現していく。
練習では、調子がいいときのイメージを意識する。そのイメージを再現していく。ただ単に弓を引いて矢を放つのではなく、弓道は、弓を引き、“引分け”の形をとり、発射のタイミングをはかる“会(かい)”、そして矢を射る“放れ”の動作。意識を集中して弓を引き、矢を放つ。一つひとつ確かめながら練習を繰り返す。
「先輩たちに恩返しがしたい」。全国大会を前に抱負を語る。「先輩たちが出場機会を作ってくれた。いつも教えてもらったりしていて、感謝の気持ちでいっぱい。少しでも上を目指したい」という。
いろいろなライバルに勝ちたいという。他のチームはもちろん、そのなかでもライバルは「尊敬する先輩や一緒に頑張っている同級生たち」。そして自分自身。いかに「正射」に近づけるかが大きな課題。負けたくないという気持ちといかに弓道を極めるかが自分の中で交差する。
お休みのときは学校の友だちや、家族とおしゃべりするのが大好き。日常の一つひとつが弓道の所作に現れていく。くったくのない笑顔で話す姿から一転、研ぎ澄まされた表情に変わっていく。「高校を卒業したら弓道を続けるか分からないけど、今は一射一射を大事に放っていきたい。色々な気持ちを込めて放っていきたい」と話す。
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