座間 スポーツ
公開日:2019.09.20
ガンバレ日本代表
ラグビーワールドカップ「楕円形がつむぐ物語」
アジア初開催となる「ラグビーワールドカップ2019」。夏季五輪、サッカーW杯と並ぶ"世界三大スポーツイベント"を観ようと世界中から多くの人が日本を訪れる。ラグビーの何が人を魅了し、何に熱中するのか。座間市内でラグビーに携わる2人にインタビューし、ラグビーの魅力や楽しさを聞いた。
ラグビーを楽しむ人を育てたいラグビー指導者 山本洋一
ラグビーとの出会いは東海大相模高校1年生の時。それまでラグビーをしたこともなかったし、本格的にスポーツも行っていなかった。「今思い返しても『何でラグビーだったんだろう』って分からないんだよね」と笑う。「それから52年だよ、ラグビーと関わってきたのは。いや、俺もびっくりだよね」
高校2年生の時、地方予選を勝ち抜き、全国大会・花園の地を踏んだ。東海大相模高校初出場の時だった。「でもね、県大会決勝は出場していないんだよ。大腿骨を骨折してしまってね」。そして全国大会1回戦は強豪の天理高校。3―22で敗れた。
165cm59kg。小柄ながらも高校時代のポジションはフッカー(2番・FW)。スクラムを組むとき最前列中央の位置でボールをコントロールする。「器用だったからかな。当時はそんなに大きいヤツはいなかったけどね」。練習はハードで、一緒に入った同級生24人は1年後8人になっていた。「こんなキツイ練習をしているのに、今辞めたら自分自身がダメになっちゃうと思ってね」。高校最後の試合に負けた後、「『やっと終わった』と思ったんだけどね、少し経ったら無性にラグビーをやりたくなって」と、それまで大学でのラグビーは考えていなかったが、迷わず進学後もラグビー部のドアを叩いた。
座間市役所就職後も地元のクラブチームでラグビーを続け、庁内でもラグビークラブを立ち上げた。自身でラグビーを楽しむ傍ら母校で高校生らに指導することが増えていった。現在は小田原市のラグビースクールで校長を務め、子どもたちに指導している。コーチや保護者たちに常に言うことがある。「結果をほめるのではなく、過程をほめてあげて」。結果だけをほめると勝ったときや出来たときだけほめることになる。「過程が大切。何が出来ていないのか、出来るための道筋をどうするかをしっかり教えてあげる。ただ怒鳴るだけの指導は絶対にダメ。怒鳴っても一つも良いことはない」と語気を強める。
4年前、日本代表はワールドカップで世界最強の南アフリカ代表に勝ち、世界を驚かせた。日本国内でもラグビーブームがおき、競技人口も増えた。「日本代表が勝ってくれるのは、とても重要。でも後ろから押していく力も大切。代表を応援する人や団体が増えないと、このままで終わってしまう。そうならないために、ラグビーの楽しさを知ってもらい選手・ファンを増やしていきたい」
命懸ける姿をその目で東海大相模総監督 土井崇司
東海大仰星。ラグビー界でその名を知らぬ者はいないというほどまでに育て上げた名将。1992年度に花園初出場へ導くと、99年度と06年度に監督として花園優勝。13年度にも総監督として日本一を成し遂げた。現在は東海大相模の中高ラグビー部の総監督を務めている。
意外にも、東海大学を卒業後、地元・大阪に戻り、教員生活をスタートさせた当初は、「ラグビーを強くするための教員にはなりたくなかった」。保健体育の授業や担任業を通じて「将来結婚式に来てほしい」と言われるような先生をめざしていた。ラグビーを教えることよりも学校教育に目が向いていた。東海大仰星ラグビー部を任された時も「強いチームを作って、ナンバーワンをとるぞ」という感覚は全くなかったと振り返る。
「まさにスクールウォーズですよ」。学校の中の「ワル」たちをラグビー部で一手に引き受け、面倒を見た。ケンカではなくラグビーで勝てるよう育てあげる中で勝つ喜びと「ワルが変化していく姿」に感動。ラグビーを通じて指導者と生徒が同じ方向を向き歩いていることに気付き「指導者冥利に尽きる感覚をラグビーから貰って」日本一をめざすようになった。
「心と心を結ぶということに関してラグビーという競技はものすごく深いつながりを持たせることができると思う」。体のぶつかり合い、心と心の戦いをして、試合が終わったら、友だち。ノーサイド。「この精神は人を育てる力になる」と力説する。「あのお前が?というやつが日本代表やトップリーガーなどとしてだけでなく有名企業で活躍してるんですよ」
そんな自身の教え子の中に、4年前のW杯で強豪・南アフリカを破った試合に出場していた選手がいる。木津武士選手だ。現地に足を運び、日本代表のベンチの10mほど後ろで観戦していた。試合が終わり、スタジアムが感動に包まれる中、ピッチから「先生、おるー?」と何度も叫ぶ声が聞こえる。急いで下りていき、抱き合った。最高の瞬間だった。
体と体をぶつけ合いながら、後ろにしかパスができない中で前に進むというナンセンスを破らなければならないスポーツ・ラグビー。そんな競技だからこそ、うわべではなく本気で「命を懸けて」「死ぬ気で」試合に臨む選手の姿をW杯では見ることができる。「ぜひその姿を見て、感じてほしい。きっとはまるはず。女性は特にね」
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