菊の魅力を伝えたい

　○…簡単な説明から始まり、実際に作り方を披露。参加者にも体験してもらい、苗を持ち帰り、自宅で育ててもらう。「菊づくりについて何も分からなくて大丈夫。手ぶらで参加できるので興味がある人はぜひ。菊の楽しさを一人でも多くの人に知ってもらいたい」と呼びかける。

　○…東京都出身。ものづくりが得意で、静岡大学工学部を卒業後、東芝に入社。掃除機の開発や品質管理の責任者などを務め、韓国や中国の工場を行ったり来たりするなど、多忙を極めた。秦野の工場に転勤になったのを機に、40年前ほど前に伊勢原へ。「山登りが好きだったので、大山は気軽に登るのに最適だった。それなら大山の入り口に住もうと思って」と話す。会社の後輩に誘われて始めた登山。弾丸日程は当たり前で、２カ月間会社を休んで出かけたこともあったという。

　○…菊づくりを始めたのは定年退職後。隣人の菊づくりを自宅の２階から眺めているうちに、自分もやってみたいと思うように。タイミングよく市の広報紙で高部屋公民館の菊づくり講座開講の告知を目にし、参加したのが７年前。「１年間やったが育てられなかった。技術屋の性で一度始めたら完成させないと気が済まなくて、翌年、その次の年も講座に参加した」。途中で菊づくり団体の秋豊会にも入会、現在は副会長を務める。

　○…「皆に喜んでもらい、『綺麗ね』と言ってもらうのがやりがい」。毎年１００鉢もの菊を育て、自宅の駐車場は菊で埋め尽くされる。開花時期は展示場と化し、道行く人の目を楽しませる。「専門書を見てもわからないことが多い。皆が菊を手軽に作れるようなマニュアルを作りたい」。新しい育て方にも挑戦中で、菊への飽くなき探求心は尽きることがない。