あす「東関東吹奏楽コンクール」に出場する綾瀬高校吹奏楽部 部長 増子 菜月さん 綾瀬高校 3年
笑顔は誰かのために
○…「こんにちは!」。きらきらと元気いっぱいの笑顔がすぐに相手の心も解く。ミーティングや部内のコミュニケーションを重視する綾瀬高校吹奏楽部の部長。毎日積み重ねた努力が実を結び、悲願の県大会に出場。さらに上の東関東大会出場も果たし、あす千葉県のステージに立つ。
○…この数カ月間は部にとって大きな転換期だった。3月に上級生が20人以上引退した後、毎年開く「サマーコンサート」を例年小ホールでの開催から大ホールに変更し企画するも、新入部員は少なく今年4月には部員がこれまでの半分に。全員1人3役で準備を進め、コンクールは少人数編成の部門での出場となり、これまで経験のない事ばかりの道のりとなった。意欲的な部員が多く、ミーティングは3時間に及ぶこともしばしば。主張や方向性をまとめることに頭を悩ませた。ふと目についたのが「部訓」。「ヘルプの精神」など、代々継がれる5カ条は部員の合言葉のようなもので、これにプラスして「団結力」という目標を毎日口にするようにした。最近は「みんな気遣ってくれます」。感謝が溢れてにっこり笑った。
○…午後7時半、部活後にはもうひとつの顔をもつ。小学生から習っているダンス。「テーマパークダンサーになりたいんです」。部活漬けの日々でテスト休みを除くと年に数日しかない”遊べる休日”に、何度も足を運ぶディズニーランド。そこで見るショーにいつか自分も立つことを夢見る。「自分を見て、誰かが感動したり、笑顔や元気になってもらえたら」
○…人へのおもてなしを忘れない。部訓5カ条には本番の時だけ加わる6条目がある。「やったもん勝ち」。それをこう解釈している。「客席の人のためになることは、なんでもやったほうが良いという意味」。コンクールもコンサートも、聞いている相手を想い、奏でている。取材後、学校の昇降口で見送る姿は見えなくなるまでミラーに映っていた。